研究課題/領域番号 |
25780219
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
柳生 智子 慶應義塾大学, 経済学部, 准教授 (40306866)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 北アメリカ植民地 / 西インド諸島 / 奴隷貿易 / 大西洋経済 |
研究実績の概要 |
本研究は、北アメリカの主要植民地(バージニア植民地、サウスカロライナ植民地)と、同じくイギリスの植民地であった西インド諸島の植民地(ジャマイカ、バルバドスが中心)を事例とし、18世紀の植民地経済・貿易の発展と、環大西洋経済圏における植民地の位置付け、さらに植民地間相互の貿易関係について分析することが目的である。その際、それぞれの植民地の労働力(奴隷貿易)、輸出作物生産(米、小麦、砂糖、タバコの輸出貿易)を分析の2 大支柱とし、植民地が互いに貿易面でどのような影響を与えあっていたのか、その多元的な貿易の実態を解明し、植民地間の貿易が環大西洋経済圏全体において、どのような役割を果たしていたのかを、植民地期の文書及び統計資料を用いて明らかにする。 平成27年度まで海外での資料調査を実施することができず、国内での学会及び論文発表に成果が制限されているが、海外研究者を招聘し共同研究を進め、平成27年8月には国際経済史会議で北アメリカ植民地期の2植民地(サウス・カロライナ、バージニア)の奴隷貿易の進展について報告した。平成28年度には海外調査で資料収集を行うとともに、共同研究者との研究分析を進め、奴隷貿易と輸出作物生産の関係について論考をまとめていく。平成27年度には『史学雑誌』において「回顧と展望」の北アメリカ近代部門をまとめたので(平成28年度5月刊行予定)、その調査に基づいて平成28年度中には北アメリカ植民地の貿易の研究動向についてのサーベイを論考として発表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度に産休から復帰後、海外調査に行くことが困難な状況が続き、研究計画の見直しや修正を余儀なくされている。しかし制約がある中でも、平成26年度の終わりに招聘した海外研究者との共同研究の開始や、平成27年夏に京都で開催された国際経済史会議(国際学会)で招待講演を行うなど、国内で可能な範囲での研究活動を行った。当初の西インド諸島の貿易に関するデータの収集や資料分析は遅れているが、北アメリカ植民地における奴隷貿易の展開やそれに関連する植民地経済の研究に関してはある程度進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は本研究の最終年度にあたり、これまで延期し続けてきた海外調査を2回、予定している。平成28年夏にはアメリカのコーネル大学もしくはノース・カロライナ大学のいずれかに長期滞在し、それぞれの大学所属の研究者(コーネル大学のエドワー・ド・バプティスト教授、ノース・カロライナ大学のピーター・コクラニス教授)との共同研究を進めると同時に、大学の資料館を利用して資料収集を進める。11月にはシカゴで国際学会Social Science History Associationが開催され、この学会に参加し、参加者との共同研究の打ち合わせを行う予定である。同時に数年来進めている経済史のテキストの執筆、さらに年度内には北アメリカ植民地期の貿易関係のサーベイを論考としてまとめる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度も海外調査が実現せず、国内出張や物品費、図書購入での使用が中心となった。そのため予想を下回る出費となった。
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次年度使用額の使用計画 |
最終年度であり、海外調査を2度予定している。また海外から購入できる関連資料は本科研費で購入する予定であり、研究成果の発表につなげたい。海外の研究者との共同研究も順調に進んでおり、学会発表などで成果を報告する機会を検討している。
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