本研究では,日本の石油化学産業が誕生してから現代に至るまでの歴史を明らかにした.同産業の歴史は1985年を区切りとして二つに時期区分できる(なお,両時期とも前半は量的に成長し,後半になると鈍化した).本研究では,両時期に関して以下のような点を明らかにした.前半期においては,急成長を成し遂げる中で過剰投資を恐れて政府を主体として業界内で投資調整が実施されたにもかかわらず,最終的には設備過剰へと陥った.そのプロセスとそのような事態に陥った理由(メカニズム)を示した.後半期に関しては,技術面で欧米と比して遅れていた日本の化学企業が次第に国際競争力を強化していったプロセスを明らかにした.
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