本研究では、日本において病院経営効率化の基礎となる論理と医療の安全性の基礎となる論理は、病院ガバナンスという概念のもとに十分集約されずにいることを解明した。私的医療機関のガバナンスの現状としては、一般に家族経営的な事業運営が主流であり、「コーポレートガバナンス」に関する理解や関心は必ずしも高くはなく、かつトップ・マネジメントの意思決定は現場に届けられてはいない可能性がある。さらにトップ・マネジメントは、専ら戦略的意思決定にかかわる事項を取り扱い、現場との意見対立が生じることはまれで、仮に意見対立が生じた場合には、基本的にトップ・ダウンで問題の調整にあたることが明らかとなった。
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