本研究は、組織と従業員が互いへの義務の範囲や内容について共有された認識を指す「心理的契約」の概念を用いて、育児休業や短時間勤務を利用しながら働き続ける女性正社員の心理的契約が施策利用によってどのように変化していき、望ましい心理的契約を形成するまでに介入する職場要因を検討した。 時系列調査とデータ分析の結果、制度利用者の多くが組織と結ぶ心理的契約において一時期には強い違反認識を持つことで就労モチベーションを下げている点が明らかになった。また、育成と評価機能を用いた現場での運用によって心理的契約は健全な状態に戻るかあるいは新しく再構築されていることが明らかになった。
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