平成25年度に継続して、中小企業のオープン・イノベーションに関する調査を継続するとともに、平成26年度に関しては、ナインシグマ・ジャパン(オープン・イノベーションのリンケージ企業)の協力のもと、大企業のオープン・イノベーションに関する調査を実施することができた。 中小企業が単独でイノベーションを実現する際においてでさえも、逆説的ではあるものの、組織外部のステークホルダーの存在が不可欠であることが確認された。すなわち、中小企業がイノベーションを遂行する際には、いかに「筋が良い」ステークホルダーとつながるかが重要な課題となっていた。この点では、中小企業は日常的にオープン・イノベーションを遂行していることを意味する。 一方、大企業がオープン・イノベーションを推進し、成果を収める際のいくつかの共通点が確認された。第一に経営層の強い推進力が前提となっていること(特に担当役員の専門領域に合致した開発テーマであること)、第二にどの部分をクローズにし、どの部分をオープンにするのか、すなわち、業務の棚卸し作業が必要であること、第三にオープン・イノベーションを推進する専任の部署・チーム・担当者を設けること、第四に開発テーマを明確にし、実現する期限を設定すること、である。 これらの研究成果を、Asia Pacific Innovation Conferenceでの発表や、ジャーナル(『日本経営学会誌』、および、"Annals of Business Administrative Science")の査読付論文などで報告した。 また、本研究の成果の一部は、碩学舎から出版予定の『小規模組織らしさを活かしたイノベーションのマネジメント-イノベーションを実現する中小企業の論理-』にも反映させている。
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