研究実績の概要 |
平成27年度は中小企業の海外市場参入プロセスの解明を目的として、これまでの聞き取り調査のフォロー調査をまず行った。対象地域は多摩地域(東京都、埼玉県)、神奈川県、茨城県、群馬県、長野県、静岡県、愛知県、広島県、新潟県であり、主に機械製造業と水産物の企業を対象とした。その上で、本研究で見出した国際的アントレプレナーシップの諸概念を踏まえ、事例分析し、2回の国内学会(企業家研究フォーラム、日本ベンチャー学会)と2回の国際学会(ICSB、ACSB)で報告した。ICSB報告は平成26年度に連携機関と実施したアンケート調査の定量分析である。学術論文誌(中小企業季報)からの依頼論文1本として、国内中小企業の国際化プロセスと国際的アントレプレナーシップの概念の関係をまとめた。中小企業の手がける製品の特性と国際化について、東京経済大学紀要に論文1本を上梓した。さらに単著・共著で査読論文誌に3本を投稿した。伝統工芸品企業の国際化に関する地域公的機関の活用に関して、1本掲載決定(経営診断学会論集)、1本は条件付き採択によるリバイズ中である。水産業の国際化プロセスに関する論文1本(企業家研究)は研究ノートによる再投稿中である。当該成果を経て、国内中小企業の海外市場参入プロセスにおける地域公的機関の戦略的役割に関する仮説的分析視点の一端を見出し、2016年2月~3月にかけて、国内中小企業1,000社に対し、研究計画通りのアンケートを実施した。回収率は約13%であり、アンケート結果を解析中である。これらの研究成果をもとに、イギリスの大学の研究者と国際共同研究も開始した。以上の研究における残された課題を「中小・小規模企業の国際的アントレプレナーシップと地域公的機関活用モデル」として、平成28年度~平成30年度の科研費・若手Bに応募し、採択されている。また、国内外の学会報告・論文投稿にも取り組んでいる。
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