平成26年度には、平成25年度において実施が遅れていた(2)企業価値創造に対する取締役の各種キャリアのインパクト計測、および研究計画立案時から平成26年度に研究実施予定であった(3)企業価値を最大化する最適な取締役会の組織化に関する理論形成を実施した。 (2)については、平成25年度に整備したデータに基づいて計測を完了した。その結果と平成25年度に実施した研究成果に基づいて、(3)にかかわる理論形成を一度は完了し、まとめた論考を権威ある国際ジャーナルに投稿するに至った。しかし、その論文は平成26年度末にリジェクトとなり、いまだに主となる成果が公表に至っていない。 一方で、研究過程で経営者の特性に応じて取締役会構成に特徴が観察されたことから、この研究過程で副次的に観察された取締役会の特徴について1本の論文にまとめて公表するに至った。この成果は、経営者の特性に呼応した取締役が選任されることで、企業業績の平準化がもたらされていることを示唆する。その他に一般向けのセミナー講演1回によって本研究にかかわる知識の普及に努めた。 今後は、平成27年度開始時点で公表に至っていない主となる研究成果を公表すべく、追加の検証作業と論考の練り直しを行い、国際ジャーナルに投稿する予定である。本研究は企業業績を最大化する取締役会の組織化を取締役のキャリアによって解明する試みであり、キャリアを重視した取締役選任を前提とすれば確立されなければならないアプローチであるといえる。確立のためには、権威ある国際ジャーナルにアクセプトされることが必要であり、そのための追加検証を続ける必要性がある。
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