本研究では、市場戦略と生産システム編成の進化の間に生じるメカニズムを検討した。1990年代後半以降の日本の二輪車完成車メーカーと部品サプライヤーの動態を事例として取り上げ、二次データと共に一次データを蓄積し、実証的に考察を加えた。この結果、大きく次の3点が明らかになった。それは、(1)各国の市場戦略とグローバルレベルの戦略が相互に影響すること、(2)各国の市場戦略が現地拠点の成長に作用するがゆえに、生産システム編成の形成には計画的な側面と創発的な側面が生じること、(3)この両側面を取り込み、かつその時々の最適な生産システム編成を形成するためには精緻な調整メカニズムが不可欠となることである。
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