研究課題/領域番号 |
25780256
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
山田 和郎 立命館大学, 経営学部, 講師 (90633404)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 新規株式公開 |
研究概要 |
これまでの研究内容をまとめあげた上で,Handbook of Research on IPOsの1章として発表した。同論文では,メインバンクの健全性が低いほど企業のIPO前における負債比率が高いことが確認された。このことから,間接的ではあるが,健全性の低い銀行は,IPO企業を通じて収益の向上を図っていたことが分かる。しかしながら,成長性を比較した所,そういった事前の負債比率が高いIPO企業と他のIPO企業との間に差が確認されなかった。なお,収益性指標は3年間の超過株式収益率を用いた。 これまでの研究ではいくつかの点で不十分であると考えられる。第1に,メインバンクの特定方法について,現在は会社四季報の取引銀行名を利用している。しかし,企業と銀行の関係性は複数の指標によって作成可能である。そのため現在は,IPO直前期におけるすべての銀行からの融資関係,出資関係について株式発行(売出)目論見書から拾い上げている。更に今後は,銀行の子会社VCを通じたIPO前の出資状況などもデータセットに組み込むことを予定している。これら多くの作業はハンドコレクトによるものになる。また,企業への役員派遣の状況についても精査する。これらによって,企業=銀行間関係をより多面的に測定することができる。 第2に,成長性指標についても不十分である。株式収益率の計測方法には複数の方法がある。さらに会計指標を用いた成長性指標も作成する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの研究内容をまとめ上げることができた。 さらに,拡張データセットの作成についてもこれまでのところ,支障なく進行している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,これまでの研究内容を2つの方向性を以って拡張する。第1に,銀行の企業=銀行間関係について,より多面的角度から調査する。特に日本では,銀行が未公開企業に対して直接株式投資を行うこと,また子会社のVCを通じた投資を行うことが知られている。それ以外にも,役員派遣,IPO前後でのメインバンクの融資シェアなど,多面的な指標の作成を行う。 第2に,複数の成長性指標を作成する。先行研究に倣い,これまで作成した3年間のBHARに加え,Fama and Frenchモデル,Fama and MacBethモデルでの株式収益率の算出,さらに業績指標の成長率の算出も行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
データセットの購入を学生を利用したデータ分析に切り替えたため,差額が未使用となった。 今年度も引き続き学生にデータ入力作業を依頼する。それによる謝金として次年度使用額を使う予定である。
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