当初,本研究の研究期間として2012年度から2015年度の3ヵ年を予定していた。しかし,進捗状況の遅れから2016年度まで期間延長を行った。こうした経緯から,2016年度ではこれまでの研究についてのまとめや研究報告を中心に活動を行った。これまでの研究では,1.導入された情報システムは適用される業務プロセスとの整合性を維持し,かつ,的確に実業務を支援してこそ,その価値を導入企業にもたらすこと,2.既存の情報システムの廃止もしくは新たな情報システムへのリプレイスなど,改廃を検討する時期に入った情報システムの特徴を把握するには,業務に関する側面と情報システムに関する側面の双方からの考察が必要であること,3.多くの企業では情報システムの本稼働とともに,種々の記録(ログ)を長期に渡り収集し,保管しているが,こうしたログの確認や検証が十分に行われることは少ないこと,4.ログを精査し,一定の期間ごとに情報システムの実態や問題点を正確に捉え,有用な情報源として活用していくことが,情報システムの運用において大切であること,の4点を中心としつつ,情報システムのライフサイクルにおける特徴的な変化が見られる時期の特定を試みた。こられらの研究活動を通じ,保守を単調であり,後ろ向きであり,一律的に費用の掛かる『作業』として位置づけるのではなく,また,情報システムの運用において記録される種々のログを整理し,一定の期間ごとに情報システムの実態や問題点を正確に捉え,運用や保守作業,および利活用での改善における有用な情報源として活用していくことで,情報システムの価値向上に結びつくことを示唆した。
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