本研究では定期的に産学連携研究会(参画企業:東芝,三菱電機,オムロン,村田製作所,オキツモ,川崎重工など)を開催し,モノ・サービスの統合型事業システム確立に向けた課題整理と実態把握に努めてきた。特に,平成27年度はIoT(Internet of Things)を組み込んだ事業展開が製造業においても議論が従来以上に活発化しており,本研究においても当該領域をより意識した研究展開を進めることとした。ビッグデータ活用は従来からその重要性が指摘されるものの,データを解釈し,それらを新たな事業展開に活用できる「意味あり情報」へと転換することが肝要であることが本研究による調査から明らかになってきたことである。 これまで,論文発表にてルームエアコンや化粧品のケースから、モノ・サービスの統合型事業システムの論点を提示してきた。同じような論点が工作機械・産業用ロボットといったFA機器における日本企業の国際競争力の背景にあることも想定され、昨今のIoTや次世代ものづくりのありようとの議論にも応用可能だと考えられる。 最終年度は、こうした論点を意識しながら、モノ・サービスの新たな統合型事業システムとして具体的に事業化が進むスマートコミュニティの実態調査をもとに描き出そうとした。当該事業の海外展開として,フランスのリヨンプロジェクト(コンフリュアンス地区)の実態調査を実施し,当該研究調査成果は平成28年夏に論文として発表予定である。 またモノ・サービス統合を意識した科学技術の社会実装活動を研究対象に広げることも追加的に実施した。
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