研究課題/領域番号 |
25780265
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 統計数理研究所 |
研究代表者 |
朴 堯星 統計数理研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 助教 (10583205)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 課業相互依存 / マルチレベル分析 / 自治体行政 |
研究概要 |
本研究では、多層レベルにおける課業相互依存に焦点を当て、多層的組織の一つである自治体を対象とした統計的無作為抽出に則った多層同時比較調査を遂行し、課業相互依存が行政職員の協力行動に及ぼす影響を明らかにすることを目的としている。 初年度目である平成25年度は、1.Journal of Applied Psychology, Human Resource Management Review 等の産業組織心理学・組織行動ジャーナルに基づき、課業相互依存尺度に関する資料を全て抜き出し収集し、課業相互依存尺度の特徴を、1)ワークフローからみた客観的特性、2)業務遂行に必要とされる協力程度に関するチーム員の主観的特性、の点で整理した。2.自治体行政に適した課業相互依存尺度を開発するためには、法律で定まっている自治体行政の業務内容と法律で定まっていない自治体行政の業務内容を整理するため、部局内、他県および市町村との相互シェアの業務内容をリストアップし、業務内容における職員間の協力実態を明らかにした。そのため、最も先駆けてNPM型行政改革を導入した三重県本庁の職員を対象とするインタビュー調査を実施し、自治体行政における課業相互依存の実態に関する情報を収集した。これらの作業を踏まえ、課業相互依存尺度の特徴を明らかにすることができた。 さらに、インタビューの際に、三重県庁職員から予備調査の実施についての協力を得ることができた。当初の予定としては、この作業は次年度である平成26年度の計画ではあるが、三重県庁職員の協力をもとに、「多層的課業相互依存尺度」の開発のための予備調査の実施した。多層的課業相互依存尺度の汎用性を確認するため、三重県本庁職員の259名を対象とする質問紙調査を実施することができた。現在、データ解析を行い、開発した尺度の信頼性および妥当性を明らかにしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究では、多層レベルにおける課業相互依存に焦点を当て、多層的組織の一つである自治体を対象とした統計的無作為抽出に則った多層同時比較調査を遂行し、課業相互依存が行政職員の協力行動に及ぼす影響を明らかにするため、平成25年度~27年度の3ヵ年で、地方自治体の職員への調査を実施する。 3ヵ年の作業計画は、第1に、多層的課業相互依存尺度を開発し、第2に、統計的無作為抽出に基づき、個人レベル‐県レベルの多層同時比較調査を実施し、第3に、マルチレベル構造方程式モデリングを用いて行政職員の協力行動に及ぼす課業相互依存の影響を確認することである。 初年度である平成25年度は、多層的課業相互依存尺度を開発するための(a)海外文献に基づく課業相互依存に関する資料収集(b)自治体行政組織における課業相互依存の実態把握:インタビュー調査の実施を行った。さらに、インタビューの際に、三重県庁職員から予備調査の実施についての協力を得ることができた。そのことから、次年度の作業(c)「多層的課業相互依存尺度」を開発するための予備調査の実施することができた。以上より、当初の計画以上に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、今年度の結果を踏まえ、2年目である平成26年度は、昨年度に三重県庁の協力を得て行うことができた質問紙調査のデータを解析し、多層的課業相互依存尺度の汎用性をより明らかにすることを計画している。同時に、次々年度の計画を向けて、他県および他の市町村を対象とした調査を試みている。現在、調査協力を引き受けてくれる可能性があると判断される自治体へアプローチしている。
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