研究課題/領域番号 |
25780266
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
西本 章宏 関西学院大学, 商学部, 准教授 (10613185)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 脱コモディティ化 / マーケティング戦略 / カテゴリー化 / 情報処理方略 / コンテクスト効果 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、消費者行動研究の視点から脱コモディティ化のためのマーケティング戦略を提示することである。このような研究目的に対して、平成26年度は、前年度の研究成果を踏まえ、1. 消費者のカテゴリー化に着目した脱コモディティ化戦略に関する実証研究と、2. 消費者の情報処理方略に対する文脈効果に着目した脱コモディティ化戦略に関する実証研究を行った。 第1実証研究においては、先行研究レビューとインタビュー調査によって発見された消費者のカテゴリー化とコモディティ化の関係性に関する仮説を構築し、仮説検証のための調査票を作成し、消費者調査を実施した。調査対象は、コモディティ化市場の製品カテゴリーとし、それら調査対象の購入・使用経験者を調査対象者とした。 その後、収集したデータを分析し、統計的処理によって仮説検証を行い、国内外の学会・研究会(INFORMS Marketing Science、日本消費者行動研究学会、日本マーケティング・サイエンス学会)で成果報告を行った。その他の国内学会・研究会にも積極的に参加し、研究に対する意見・コメントを得た。 第2実証研究においても、基本的には同様の研究手続きによって、データを収集した。ただし、本実証研究では、先行研究レビューとインタビュー調査に加え、第1実証研究から明らかにされた研究結果を踏まえ、消費者の情報処理方略に対する文脈効果とコモディティ化の関係性についての仮説を構築した。そして、第1実証研究と同様に、調査を行い、データを収集して、統計的処理によって仮説検証を行い、国内の学会・研究会で成果報告を行った。 現在は、それぞれの実証研究について、国内のレフェリー付き雑誌に論文を投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度に、十分な先行研究レビューとインタビューを行うことができたため、研究基盤がきちんと構築されたことから、今年度においても、効率よく先行研究レビューを行い、頑健性のある仮説を設定することができた。また、仮説検証に伴う消費者調査と実証分析においても、当該分野において十分な経験があることから、首尾よく研究を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、前年度の研究成果に加え、3. 消費者のブランド知識に着目した脱コモディティ化戦略に関する実証研究と、これまでの研究成果をまとめ、著書を出版することが研究活動の中心となる。 第3実証研究においては、前年度の実証研究とは異なり、実験調査ではなく質問票調査を行う予定である。本実証研究では、消費者のブランド知識とコモディティ化の関係性を明らかにすることが研究課題となるため、消費者個人のブランド知識を推定するためにMCMC(マルコフ連鎖モンテカルロ)法による階層ベイズによるモデル開発を行う。ここでは大量のサンプルが必要となることから、インターネット調査による大規模サンプル調査を行う予定である。 なお、モデル開発が完了し、推定結果から仮説検証を行った段階で、これまでの研究成果をまとめ、国際学会にて成果報告を行いたい(5~6月頃)。国際学会としては、INFORMS Marketing ScienceとAssociation for Consumer Researchが候補として挙げられる。そして、世界中の研究者から本研究に対する意見・コメントを頂戴し、その内容を反映させて、海外のレフェリー付き雑誌に論文として投稿する予定である。 さらに、これまでの研究成果をまとめて、「脱コモディティ化のためのマーケティング戦略」に関する著書を出版する予定である。
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