本研究の目的は、グローバル・ブランド管理における海外子会社の役割を明らかにすることであった。主に、①海外子会社の役割が受動的役割から主体的役割へと変化する経緯とその要因、②主体的役割を担う子会社の特徴、について明らかにすることを目的とした。研究は、既存研究の整理とフィールド調査を繰り返し実施して行われた。 平成28年度は、子会社の変化と企業間ネットワークの関係について研究した。企業内に蓄積された知識を活用できる場合、すなわち企業内ネットワークが構築されている場合、子会社はそれらを利用して新たな戦略を実施することができる。ただし、その知識が現地市場で有効性をもつことがその条件となる。また、新興国市場のような急速に市場が変化する場合、企業内ネットワークを活用した子会社の変化はより有効性が高いと考えらえる。 本研究全体を通じて、明らかになったことは、①重要度の高い順に子会社がグループ化されていること、②そのグループの階層によって子会社の役割が異なること、③子会社の役割は現地市場・周辺国の変化や本国市場の重要度・規模によって変化すること、④子会社の変化は企業内ネットワークによってもたらされること、であった。また、最重要グループに所属する子会社が変化することによって、すなわち最重要市場が変化することによって、グローバル・ブランド管理そのものが変化することも本研究の成果である。ただし、グローバル・ブランド管理全体の変化といった大きな変化には組織慣性が働くので、それをどうのように克服して新しいグローバル・ブランド管理を時刻するかは研究課題として残った。
|