文献リサーチと実態調査を行い、以下の理論モデルを構築した。企業の価格差別戦略の分析に消費者行動の概念を取り入れ、市場にバラエティを求める消費者が多い場合には新規顧客割引が実施され、惰性的な消費者が多い場合には既存顧客割引が実施される均衡が得られた。さらに、消費者の将来に対する合理的な予想の程度を変数化して分析を続けた。消費者が将来に起きうる自分の消費を、現時点において重要視する場合には、企業が実施する価格差別は企業利潤に悪い影響を与える反面、消費者がそれほど将来を重要視せずに現在の購買を決定する場合には、価格差別が企業にとって有利になり得ることを証明した。
|