研究課題/領域番号 |
25780279
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
緒方 勇 関西学院大学, 経営戦略研究科, 准教授 (40435300)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | R&D |
研究概要 |
現在の日本の会計制度ではR&D投資を資産計上することは認められていない。しかし、最近では、国際会計基準をはじめとしてR&D投資の資産計上を認める会計制度改革が進展している。しかし、R&D投資を資産計上するとして、R&D投資のうちのどの程度を資産計上し、どの程度の償却率で減価償却していくのかという具体的な問題についてはあまり実証的な検証がされてこなかった。本研究ではこの点に注目し、R&D投資のうち、資産計上する割合、減価償却率、資産計上するまでのラグ期間について望ましい水準を計測することが目的である。 本年度は、計測のための統計モデルの構築を主に行い、また、翌年度以降の本格的な実証分析をまえにした、簡易的な分析も併せて行った。簡易的な分析であるが一応の結果として、おおよそR&D投資の半分程度を資産計上し、またR&D投資が成果(売上高)を生むまでのタイムラグはおおむね5,6年程度であることが判明した。ただし、この分析では償却年数が20年程度ときわめて長く、分析結果の信頼性を減じる結果となった。 これは、統計モデルがまだまだ不正確なモデルであることが原因のひとつとして考えられるため、翌年度以降も引き続き、統計モデルの改善を図っていく必要がある。 本研究の結果は、実際にR&D投資を資産計上するにあたって、実質的な指針を提供するものであり、その成果は企業の会計責任者や公認会計士など、多くの実務家にとって有益なものとなるだろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までのところ、統計モデルにまだ若干の改善を行う必要があるが、本研究の問題点はその点のみであり、これは問題なく解決可能である。また、分析に必要なデータベースはすでに構築しており、この点には何も問題はない。
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今後の研究の推進方策 |
本研究遂行に当たっての唯一の問題は、統計モデルの改善、およびそのモデルを用いて実際に分析を行うことである。この点に関しては、統計学の専門家のアドバイスを参考にしながら解決する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
専門書籍の購入が予定よりも少なかったこと、および統計ソフトウェアについてどのソフトウェアがもっとも分析を容易にするか検討中のため、購入を見送ったことが理由である。 次年度使用額分は今年度に購入を見送った統計ソフトウェアの購入に充てる予定である。また、研究代表者の所属大学が移ったことにより、1:分析に必要な財務データを大学で購入しているので、本研究費から支出する必要がなくなったこと、および、2:統計学の専門家からのアドバイスを直接得るための交通費がかさむようになったことにより、次年度は、当初の予定よりも物品費が減り、旅費が増える見込みである。
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