研究課題/領域番号 |
25780282
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
高田 知実 神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (00452483)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 財務諸表監査 / 実証研究 / 監査報酬 / 監査パートナー |
研究実績の概要 |
本研究は、日本企業における財務諸表監査の経済的機能を実証的に明らかにすることである。具体的には、(1)日米企業における監査報酬の差異の決定要因分析と(2)監査の品質を左右する要因とその帰結の関係を分析する。これらの研究を遂行するにあたり、次のステップで分析を進めている。(A)関連研究のレビュー、(B)データの収集、(C)実証分析の実施、(D)国内外の学会・研究会での研究成果の報告と意見交換、(E)査読付雑誌への投稿である。 本年度は、1つ目のテーマについて、(C)と(E)の作業を行った。具体的には、昨年度の研究成果として報告済みの髙田(2015)をベースに分析を深化させ、学会や学術誌で報告・公表するための準備を進めた。すなわち、日本企業における監査報酬の水準の決定要因から、監査報酬の変化額に主眼を変えて、その決定要因を分析したのである。2つ目のテーマについて本年度では、監査パートナーの属性に関するプロジェクトを新たに進め、(A)から(C)までのプロセスを経たところである。継続しているパートナー・テニュアに関する分析は、引き続き(E)の段階にあり、査読誌の掲載に向けて改訂作業に取り組んでいる。 本研究の最終的な目的と照らし合わせると、これまで進めてきた研究の意義と重要性は、次のようにまとめられる。まず、第1のテーマについて、監査報酬の水準・変化額の決定要因の分析は、企業側が外部監査の重要性をどのように、どの程度認識しているかの評価につながるものである。次に、第2のテーマについては、監査パートナーのどういった要因が、企業と会計事務所の交渉関係ならびに監査の品質を左右しているのかを明らかにすることで、日本企業の監査における監査パートナーの役割を解明することにつながる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していていた内容について、抽象的なアイデアであったものをより具体化し、複数の研究プロジェクトとして進めることができている。1つ目のテーマについては、データの制約もあり、日本企業の分析が主になっているという点が、当初の計画から微修正したところであるが、それによって日本企業の分析を深化させることが可能となった。2つ目のテーマについては、近年国際的にも注目されている監査パートナーに関連する要因に注目した2つのプロジェクトを進めており、最終年度には、両方が(E)の段階まで到達するものと予測している。つまり、事前の計画に沿う形で、4年間で一定の研究成果を報告できる形で進めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の最終年度である2016年度には、1つ目のテーマについての分析を、国内の学術誌に掲載することを予定している。同テーマについては、データの入手可能性の問題と米国での研究成果が蓄積されていることに鑑み、日本企業の分析に注力してその実態を解明し、国内で公表することの重要性が高いと判断し研究を進めている。一方、2つ目のテーマは、国際的にも重要な内容である一方で、企業から開示されているデータの制約から、特に米国では分析が難しいトピックスである。そのため、本テーマについては、最終的には国際的な査読誌に掲載することを目標として2つのプロジェクトを進めている。2016年度には、国際的な学会での報告・査読誌への投稿までを計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
決済額がドル建てになったものがあり、為替相場の影響を受けるなどして差額が出たこと、及び海外出張のための費用は、手配するタイミングで航空券の金額が変動したこと等が原因である。
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次年度使用額の使用計画 |
引き続き、他通貨での決済や海外出張などがあるため、差額が出やすい状況ではあるが、次年度は最終年度であるため、逐次残額を確認しながら、計画的に予算を執行する予定である。
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