本研究は、日本企業における財務諸表監査の経済的機能を実証的に明らかにすることである。具体的には、(1)日米企業における監査報酬の差異の決定要因分析と(2)監査の品質を左右する要因とその帰結の関係を分析する。これらの研究を遂行するにあたり、次のステップで分析を進めた。(A)関連研究のレビュー、(B)データの収集、(C)実証分析の実施、(D)国内外の学会・研究会での研究成果の報告と意見交換、(E)査読付雑誌への投稿である。 本年度は、最終年度であったため、2つの研究課題とそれに関連する研究成果を公表することに注力した。(1)の研究については、引き続き日本企業の監査報酬に関する研究を進め、監査報酬の変化額の決定要因に関する研究について2つの研究を実施した。うち1つについては、学会報告を行った上で学会誌へ投稿し、査読を経て採択の通知を受け取りっており、近刊の予定である。もう1つの研究は、一般の査読無し学術誌へ寄稿した。(2)の研究については、監査変数と監査の帰結に関する研究を2つ進めており、うち1つは2017年度に一般の学術誌において公刊予定である。他方は、英文雑誌への投稿に向けて準備している。また、(2)の研究として、監査チームに関する分析に着手してきたが、広範な視点からの分析であるため、完了には至っていない。ただし、本研究は、研究協力者も得て行っているもので、国際的な学術研究に対する貢献も大きいと考えられるため、他の研究費を得て、来年度以降も継続する予定である。なお、本研究課題に関連する内容として、企業における財務報告にかかる内部統制と情報開示の品質に関する研究を平行して行っており、本研究については、英文査読誌で受理され、これも近刊の予定である。
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