研究課題/領域番号 |
25780292
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
山根 里香 東京理科大学, 経営学部, 講師 (60530110)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 組織学習 / アンラーニング / 製品開発プログラム / エコシップ |
研究概要 |
本研究の目的は、管理会計システムの機能による組織学習能力の向上への影響とその過程を明らかにし、組織学習能力と組織業績との関連における管理会計システムの機能を検証することである。本年度は、前半の課題に取り組むべく、(1)組織学習に関連する先行研究の収集と整理、(2)製品開発を支援した組織学習の機能について、研究・調査を行った。 課題(1)については、経営学分野での研究蓄積を援用し、管理会計システムとの関連性についてその概念整理を行っている。組織学習論は、従来、組織の意図と現実を適合させることをめざすシングル・ループ学習、ダブル・ループ学習の議論を起点とするArygirs系、ルーティンを変化させる学習によって継続的に環境に適応することを目指すMarch系、アンラーニングの議論を起点とするHedberg系、これらに代表されるいくつかの流派で論じられており、管理会計システムの機能と整合性を持つ組織学習論について、引き続き検討を行う。 課題(2)については、造船業における複数世代にわたる製品開発プロジェクトにおける組織学習の機能を、特にアンラーニングについて論じるHedberg系の理論に基づいて検証を行った。事例調査を行った企業では、従来の複数世代の製品開発の推移を支えてきた組織学習は、探索の深さを追及する取り組みであったが、新素材を採用した事業の取り組み方からの変更を伴う製品開発は、探求の広さを可能にしたアンラーニングが機能した事例である。これらアンラーニングが可能となった背景には、事業投資の見極めに関する投資意思決定の枠組みやリーダーシップの仕組みが影響をもたらしていることが明らかとなった。研究成果は2014年2月に国内ジャーナルへ掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、先行研究のサーベイと事例調査の実施を計画していた。 先行研究のサーベイについては、組織学習論にはいくつかの代表的な流派があり、各流派の理解に時間を要したため当初の予定よりも、議論の整理に時間を要した。管理会計システムの整合性を考えるうえで必要な作業であるため、引き続き慎重に実施したいと考えている。 事例調査については、論文として公表された企業以外にも、調査を開始している。引き続き追加調査を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、事例調査を実施する予定である。既に2社とのインタビュー調査の準備に取り掛かっており、先行研究のサーベイを受けて事例調査を行う。 また、事例調査の結果を受けて質問票を構成、プレテストの実施と再構成までを計画している。
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次年度の研究費の使用計画 |
企業調査の訪問計画が、先方との調整の結果、次年度に持ち越しになったため 当初の予定を下回った。 次年度に、追加の企業調査と新規の企業調査を実施する予定である。
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