<最終年度に実施した研究成果> 平成27年度の計画は、「日本企業を対象としたマーケティング活動の実態に関するインタビュー調査、事例研究」とした。本研究課題では「マーケティング」を「ダイレクト・マーケティング」と捉えるため、インタビュー調査対象をダイレクト・マーケティング支援組織とした。本年度のインタビュー調査では、国内企業3社を訪問した。一連の調査から明らかになったことは、ダイレクト・マーケティングを想定したコスト・マネジメントシステムの考察が求められることであった。このような考察は「市場セグメントにおける顧客関連原価の配分―原価階層の議論を中心として―」(『横浜経営研究』第36巻第1号、2015年6月)で公表した。 <研究期間全体を通じた研究成果> 本研究課題は、日本企業を対象として、企業競争力の源泉となる「マーケティング活動の投入産出関係」の明確化を、①先行研究分析による理論構築研究、②企業実態アンケート調査、③特定企業の事例研究の3つのレベルにおいて解明するものであった。本研究課題で掲げた「アカウンタビリティ」概念の1つとして、「管理会計上のアカウンタビリティ」が含まれる。当該アカウンタビリティ概念の範囲内では、マーケティング活動の効率性に関する評価指標としてマーケティングROIがあげられる。マーケティングROIの定義には、諸処で相違が見られるため、その相違点の明確化と既存の計算構造の再検討を行った。本研究課題では、マーケティング管理会計の理論的鈍化の要因を「業種業態に応じた企業内部でのマーケティング活動の相違」という視点から考察した。このような視点を通じて、事例研究では、研究デザインとして標準化された一般的質問を作成し、各事例の体系的な比較を試みた。以上のことから、研究期間全体を通じて、理論構築研究と事例研究の2つのレベルに基づく研究成果を公表した。
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