研究課題/領域番号 |
25780298
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
木村 麻子 関西大学, 商学部, 教授 (30389233)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | インタビュー / ケーススタディ |
研究実績の概要 |
平成26年度は、木村(2012)、木村・堺(2013)における知見をベースにインタビューを重ねた調査結果をケーススタディとして国内外で学会発表し、論文を執筆した。研究成果として、従来アメリカで必ずしも定着しなかったブランドマネジャー制が日本企業で円滑に運用されている理由を論じた。ブランドマネジャー制を開発したP&Gではブランドマネジャーは製造部門や販売部門など他部門に対する水平的な権限を有していないが、他部門からの協力を得てブランドマネジメント活動を行っていることが指摘されるものの、その理由は必ずしも明示されてこなかった。木村・堺(2015)では、ブランドマネジャー制を40年以上にわたって効果的に運用する日本企業の特性を管理会計の視点から考察した。その結果、ブランドマネジャー制の導入・運用を支援する可能性の高い理由として、管理会計担当部署がブランド別の売上高・営業利益を週次に近い形でブランドマネジャーに提供することで利益志向を高めていること、また半期の業績に応じて流動的に執行可能な予算が増額されることなどがブランド別の損益計算を行うための会計システムが整備されていること、ブランドマネジャーが販売促進用の追加的商品の製造原価に関する予算を有していることなどが挙げられた。当該研究成果は、ケースをもとに先行研究では明らかにされなかった点を論じ、管理会計情報のブランドマネジャー制への貢献を指摘をした数少ない定性的研究であるというところに意義がある。ただし、特定企業についての考察であり、一般化されていないというところが限界と言える。本件に関しては平成27年度にアンケート調査を行うことで補う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度はインタビュー調査の成果を国内外のConferenceにて発表し、そのうちの一本を国内の学会誌に公表した。海外で報告した内容については、建設的なコメントを得られたので、現在修正中である。平成26年度の計画としてはアンケート調査を行う予定であったが、ケーススタディを論文としてまとめることを優先し、またそのための国内外での発表に予算の多くを割くことになったため、年度内での実行ができなかった。その意味ではやや遅れているが、質問項目自体は完成しており、平成27年度の前期に調査を実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は予算の大半をアンケート調査の実施に用いることを予定している。調査結果は早々に集計し、分析して国内の学会にて発表したい。また、引き続きインタビュー調査を継続しながら平成26年度に英文で執筆した論文を投稿することを検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度は研究成果を海外のConferenceで発表することとした。発表にあたっては査読をパスする必要があったため、査読結果を得てから航空チケットの予約等を行い、平成26年度の交付決定額の多くを旅費に費やすこととなった。ゆえに、予算上の制約から平成26年度の研究計画であったアンケート調査を行うことができず、平成27年度に計画を繰り延べることとしたため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度に繰り越した金額は、アンケート調査に用いる予定である。アンケート調査には、調査票用紙のデザイン・印刷費用、往信郵送費用(リマインダー分を含む)、返信郵送費用、調査結果の集計のためのアルバイト代など資金が少なからず必要である。平成26年度から繰り越した金額はすべてアンケート調査に投じることとしたい。また、平成27年度の直接経費の多くもアンケート調査投じるほか、研究発表のための出張旅費に用いる予定である。
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