研究課題/領域番号 |
25780305
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
永吉 希久子 東北大学, 文学研究科, 准教授 (50609782)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 反外国人意識 / 外国人表象 / 内容分析 |
研究概要 |
本研究の目的は、日本において外国人住民が脅威として認識されるメカニズムを、政党とメディアの影響に注目して明らかにすることにある。日本における反外国人意識研究では、外国人住民を職や社会秩序への脅威と見なすことが反外国人意識を高めるという「現実的脅威仮説」が支持される一方、なぜ外国人住民が脅威として認識されるのかについては十分に説明されてこなかった。本研究では、外国人が脅威として認識されるメカニズムを、政党とメディアによる「外国人」のフレーミングの影響に注目して、検証する。 本年度は、政党とメディアによってどのようなフレーミングが行われているのかを検討するために、データの収集と分析を行った。政党によるフレーミングを分析するためのデータとして、2013年に実施された参議院選挙時の選挙公報を収集した。また、メディアにおけるフレーミングの分析のための資料としては、次年度行う質問紙調査の対象地点として抽出された各都道府県で、もっとも講読数の多い新聞を対象に、外国人関連の記事を過去4年分収集した。また、購読者数の多い読売新聞については、1980年代からの新聞記事を収集した。 この新聞記事データをもとに、計量テキスト分析ソフトを用いて分析を行い、以下のことを明らかにした。新聞記事における外国人表象には地域差があり、大都市においては外国人増加を国の外交や経済と結びつけて論じる傾向があるのに対し、地方においては地域に対する影響を中心に論じる傾向にあった。さらに、地方における外国人表象は、外国籍者の割合によって異なっており、割合の高い地域では外国人が地域住民として描かれる一方で、割合の低い地域では地域に経済効果をもたらす旅行者としての側面が強調される傾向にあった。このことは、「脅威」としての外国人認識の地域差が、メディアにおける表象の差によって生じている可能性を示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は言説分析に用いるデータの収集および分析、質問紙調査の調査票の確定を予定していた。このうち、言説分析に用いるデータの収集は終了しており、新聞記事に関しては分析も終了し、既に数理社会学会において分析結果を報告している。選挙公報についてはデータの整理に予想以上に時間を要したため、現在分析途中であるが、平成26年度のはじめには分析を終える予定である。 また、調査票については、印刷まで終えることはできなかったものの、すでに細かいワーディングの調整段階に入っており、平成26年度はじめに印刷を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度には、質問紙調査の実施・分析を行う。この際、配分された予算が申請したものよりも少なかったことが問題となるが、これに対しては各地点の対象者数を9000から6000まで削減することで対処する予定である。対象者の抽出は当初の予定通り、選挙人名簿を用い、5月・6月に実施する。この際協力を依頼する学生アルバイトについても、ある程度確保できている。 サンプリングを終えた後、7月以降に郵送調査を行い、9月以降にデータのクリーニング、集計を行い、10月以降に分析を実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度中に調査票の印刷を終える予定であったが、調査票の最終的な確定にいたらなかったため、印刷ができなかったことにより、次年度使用額が生じることとなった。 当初計画通り、調査票の印刷費用に充てる予定である。
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