平成27年度は、おもに「理論の応用と展開および事例の相互比較~視点の体系化と総括~」というテーマのもと、ひきつづき聞き取り調査、フィールドワーク、関連する分野の研究者と意見交換を行いながら調査研究を進めていった。以下、具体的な実施内容である。 (1)社会学や看護学を専門とする研究者らと、保因者女性に関わる医療者(医師および看護師)への聞き取り調査を行い、血友病保因者への対応や課題について情報の収集と整理を行った。(2) 2日間にわたる全国フェモフィリアフォーラム2015に参加し、血友病保因者をとりまく問題について、シンポジウムや分科会で意見交換を行った。(3) 「保因者教育」の実態について教材や講演などの資料の収集・検討を行った。 (4) 血友病患者を対象とした「ヘモフィリア患者がもつライフスキルの収集および共有と継承に関する調査研究」)の質問紙調査の集計と分析、最終報告書の作成を行った。おもに、家族に関すること、「保因者」や遺伝に関する調査項目の集計・分析「家族とのこと」(論文)を担当した。(5)また、血友病患者が語る保因者家族とのかかわりについてインタビューデータにもとづく調査報告書「『日常/非日常』の往来を経て、血友病やHIV とともに生きる『人生曲線』」(論文)を執筆した。このほか、(6)血友病とHIV感染被害との関連で、現在推進されている「薬害教育」に関する研究として、「『薬害』を学ぶための副教材はどのようにして作られたのか――中等教育を対象とした『薬害教育』に関する討議の検討」(論文)を執筆した。 (7)医療・福祉系の社会学研究会および学会に参加した。
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