研究課題
東日本大震災から6年の研究成果として、『悲愛──あの日のあなたへ手紙を書く』(新曜社)を上程出版することができた。本書は、「亡き人への手紙プロジェクト」との一環で、実践的課題から震災の問いを作り出す画期的な試みである。2012 年に送り出した編著書「3.11慟哭の記録-71人が体感した大地震・巨大津波・原発事故」(新曜社)が、5W1H という行動記録をとることの記録への挑戦、そし て死者との随伴行為の発見であった。それに対して、この手紙プロジェクトは、亡き人(大切なモノ、失われた故郷)への直接的な 挽歌の宛先のある想いがどのように綴られるかを通して、必ずしも調査者と被調査者との聞き取り行為で追えないようなより深い死者との相互行為の実態とその効果として災害のトラウマ研究 における金字塔を精神分野の領域から逸脱しながらも打ち立てることにあった。50 人規模の対象者 (行方不明を含めた亡き人)へ依頼し、死者との具体的な向き合い方を手紙という形で直接綴っ ていただき、それを元に深い聞き取りを行い、私的なものに沈潜している生者と死者のあわいで 生み出される意識と社会的意味を問うた。この手紙は「手紙」を超えた手紙である。いずれも書けないあるいは書くことができなかった人びとの痛切な悲愛の言葉として、3・11のあの日、さよならもいわずに去ってしまったかけがえのない人、流されてしまった家、動物たち、もはや戻れない故郷。震災から6年を前に、愛すべき人、失ったものたちへの痛切な想いをつづった33編の手紙を収録できた。そこにあるのは、社会的に注目された人や被災者として語られることが多かった当事者(あるいはそういう人も含めて)から決して見えてこなかった人びとの姿であった。私的な手紙を通して初めて私たちはその声がどういう意味を持つのかを知ることができるのではないかと考えられる。
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第三文明
巻: . ページ: 30-32
すまいろん
巻: 100号 ページ: 26-29
現代宗教2017
巻: . ページ: 199-219
考える人
巻: 季刊誌2,017年冬号 ページ: 36-37
福音宣教
巻: . ページ: 15-21
新社会学研究
巻: 第1号 ページ: 61-73
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