本研究は、地域や人々がその社会を根底から破壊する災禍にあっても、災禍を吸収するダイナミズムを保持することを明らかにした。従来どのようにリスクを捉えるのかについて議論されてきたのは、(A)リスクを外部条件としてみなし、それをいかに避けるのか(防潮堤・災害危険区域指定・高台移転)が提示されてきた。それに対し、本研究では(B)内部条件として、(1)災害リスクに対して地域コミュニティや人々が脆弱性を吸収し、回復する力を保持しているのかを明らかにする。(2)千年災禍のなかで、漁村沿岸地域における災害危険区域や水産業復興特区等の強圧的な行政政策に対して対抗論理を志向する実践性(=生きられた法)を提示する。
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