研究課題/領域番号 |
25780317
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 明星大学 |
研究代表者 |
熊本 博之 明星大学, 人文学部, 准教授 (80454007)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | NIMBY施設 / 迷惑施設 / 米軍基地 / 原子力発電所 / 共生社会 / 社会学 |
研究概要 |
本研究の目的である、NIMBY施設の公平な分担と漸次的な削減を実現するための条件を検討するために、平成25年度は普天間代替施設の受け入れを迫られている名護市辺野古区、および上関原子力発電所の建設を32年間阻止し続けている上関町祝島でのフィールドワークを実施し、さらに在日米軍基地、自衛隊基地、原子力発電所、火力発電所の4施設の受け入れの是非、およびその回答に影響を及ぼしている要因を探るため、2079名のサンプルに対してweb意識調査を行った。 辺野古区でのフィールドワークでは、住民運動組織「命を守る会」が平成26年3月末に解散し、新たに「ヘリ基地建設に反対する辺野古区民の会」として再組織する理由について主に検討した。辺野古区が普天間代替施設の受け入れを条件付で容認している以上、建設をとめるためには区民だけで構成される組織として活動し、辺野古区の意思を変えるための運動に特化する必要がある。そのための組織替えであったことが明らかになった。 祝島でのフィールドワークでは、原発建設に伴う漁業補償金の受領を拒絶する祝島漁協の活動の論理に着目した。補償金の受領は原発容認に接続するとの認識から受け取りを拒絶する姿勢は、基地建設には反対だが、条件を出していかなければ何の補償も得られないとの理由で条件付容認の立場にたつ辺野古区と対照的である。 意識調査では、受け入れを容認しない回答者が原発84.3%、米軍基地73.9%と多数を占める一方、自衛隊基地は49.3%、火力発電所は48.8%とほぼ2分していることがわかった。また4施設の危険性の制御可能性を4件法で問うたところ、制御不可能だという回答が原発39.2%、米軍基地21.9%であったのに対し、自衛隊基地、火力発電所はどちらも約6%であり、制御可能性の高さが受け入れに大きく影響している可能性が明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フィールドワーク、意識調査とも、当初の計画通りに進んでいる。辺野古には2回、述べ8日間滞在し、充分な調査を実施できた。祝島には1回、3日間滞在した。祝島の政情を知悉しているルポライター、山秋真氏を研究協力者として迎えたことで、効率的な調査を行うことができた。意識調査は平成26年3月14日から17日にかけて、マクロミル社のモニターを対象にweb上で実施し、予定通りの充分なサンプルを確保することができた。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に基づいて進めていく。辺野古については平成26年9月に名護市議会議員選挙、11月に沖縄県知事選挙が予定されており、この時期には重点的な調査を行っていく。祝島については今年度構築した関係性をさらに深めていくことで、反対運動の継続を可能にしている要件を探っていく。意識調査の結果については、統計的な分析を進め、NIMBY施設の公平な分担を阻害する要因、実現するための条件を析出していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
web意識調査にかかった費用が、質問数の見直しなどの理由によって当初予算より減額したため次年度使用額が生じた。 調査結果の統計的分析を行うために、データのエラボレーションが必要になるため、そのための人件費の一部に組み込むことで当初目的の遂行に資する。
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