本研究の目的は、社会変動にともなうコモンズ利用の変容過程を解明することである。『昭和49年全国山林原野入会慣行調査』の計量分析および既存のコモンズ研究をサーベイした結果、以下のような知見が得られた。第一に、市場経済の発展や人口増加といった社会変動が生じた場合、コモンズの利用形態はより市場に適応したかたちに変化するが、コモンズの管理のあり方は共同管理というかたちが維持される。第二に、木材需要の低下や少子高齢化といった社会変動が生じた場合、資源利用の多様化の問題や過少利用問題など従来のコモンズ研究が想定していないような問題が生じる。
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