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2016 年度 実績報告書

患児の死をめぐる小児科医の経験とその規定要因に関する探索的研究

研究課題

研究課題/領域番号 25780320
研究機関早稲田大学

研究代表者

鷹田 佳典  早稲田大学, 人間科学学術院, その他(招聘研究員) (30634266)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2017-03-31
キーワード医師 / 患者の死 / 苦悩 / 支援
研究実績の概要

本研究は、エスノ社会学的パースペクティブを用い、小児科医が患者の死をどのように経験しているのかについて探索的に調査したものである。4年間で22名の小児科医にインテンシブな聞き取り調査を実施した。
最終年度にあたる本年は、追加インタビューを実施し、生成過程にあった仮説モデルの完成を目指した。小児科医は患者の死にさまざまな感情を抱きながらも、常に冷静な振る舞いを求める職業規範を参照しながら、感情(表出)をコントロールしていた。しかし、近年ではこうした医師の行動を規制する感情規則が変化し、感情を素直に表出することに対する認識の変化もみられた。
調査協力者のなかには、「やり尽す医療」に対する違和感を抱いている医師もいて、その問い返しの作業のなかで、「患者目線の医療」や「患者と共に揺れる医療」が模索されていた。また、数は少ないものの、遺族との対話は、自身の医療実践を振り返り、その意義づけを行ううえで重要な機会となっていた。
調査協力者はさまざまな苦悩(サファリング)を抱えていたが、個人的な対処を求められる傾向が強かった。その背景には、主治医制や職業規範、遺族と関わる機会の少なさなどの要因があった。現在のところ、医療現場において、苦悩を抱える医師を支援する体制はきわめて脆弱であり、こうしたサポートネットワークの構築・整備が今後の課題であることが明らかとなった。また、救命・延命に第一義的な価値を置く「回復の語り」(フランク)だけでなく、治療の手立てが亡くなった患者への関わりを支えるような新たな語りの構築も求められている。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2017 2016

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] Sufferingと対峙する医師の支援の可能性について ―医師によるセルフケアを超えて―2017

    • 著者名/発表者名
      鷹田佳典
    • 学会等名
      第32回日本保健医療行動科学会
    • 発表場所
      亀田医療大学
    • 年月日
      2017-06-17 – 2017-06-18
  • [学会発表] 「やり尽す医療」を問い直す ―End-of-Lifeと向き合う小児科医の語りから―2017

    • 著者名/発表者名
      鷹田佳典
    • 学会等名
      第43回日本保健医療社会学会
    • 発表場所
      佛教大学
    • 年月日
      2017-05-20 – 2017-05-21
  • [学会発表] 医師が泣くということ-患者の死をめぐる医師の感情労働について2016

    • 著者名/発表者名
      鷹田佳典
    • 学会等名
      第42回日本保健医療社会学会
    • 発表場所
      追手門大学
    • 年月日
      2016-05-15 – 2016-05-16

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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