半構造化面接法を用いたインタビュー調査に基づき、患者の死に直面した小児科医の経験とその規定要因について記述・分析を行った。その結果、小児科医は患者の死に際し、喪失感を含めた複雑な感情を経験していること、しかし、常に冷静さを求める職業規範や主治医制により、自由に感情を表出できるわけではないこと、きわめて個人化されたやり方で患者の死という困難な事態と向き合わなければならない状況にあることが明らかとなった。現在、こうした小児科医へのサポートは非常に脆弱であり、何らかの支援ネットワークを構築していくことが今後の課題である。
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