本研究の成果は以下の通り。(1)占領期の日本人の海外渡航、外国人の訪日旅行に関するGHQ/SCAPの指令や日本政府の法令、極東委員会の議事録を収集・整理した。(2)GHQ/SCAPの渡航審査の「差別性」を巡る米ソ間の対立が、アジア地域の労働運動を巡る東西陣営の国際労働機関の争いに起因することを示した。(3)特定の人物・渡航先への旅券発給拒否を定めた旅券法(1951)の成立過程を分析し、それ以前のGHQ/SCAPの渡航管理と米国の国内安全保障法(1950)の影響関係を指摘した。(4)米国が欧州復興計画の中で実施した米国民のヨーロッパ観光推進事業について、政策意図、組織体制、事業効果等を分析した。
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