本研究の目標は、19世紀半ばに始まったアメリカにおける越境移動産業のグローバルな展開が、人種・エスニシティにおける「他者」理解や「異質さ」の排除・消費にもたらした影響を考察することである。研究は、太平洋郵便汽船会社をはじめとするアメリカの汽船会社の展開を中心に行った。蒸気船事業が発展を軸として、アメリカからアジアへの海外旅行、世界旅行が始まり、「異質なアジア」の文化消費がはじまったこと、アメリカ国内で開催された世界万博における「アジア」の展示、両者の関連性、そしてアジアからアメリカへ戻る船に多くの移民を乗せてきたきたことを明らかにした。
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