研究課題/領域番号 |
25780325
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
河崎 吉紀 同志社大学, 社会学部, 准教授 (30388037)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ジャーナリスト / 職業訓練 / 職業資格 / イギリス |
研究概要 |
本研究はメディア業界への人材供給について、社会的メカニズムを解明することを目的とする。個人の情報発信力が高まり、旧来のマスメディアが再編を迫られるなか、メディア業界にどのような人材がどこから供給されるのかは重要な問題である。アプローチとして歴史社会学、国際比較を用いる。これまであまり紹介されてこなかったイギリスとの比較を通して、ジャーナリストの育成、業界への参入、そこで求められる資格について検討する。特に労働組合の影響下で、日本やアメリカにない独自の人材育成を発展させた点に焦点を定める。 本年度は、職業団体の機関誌を中心に資料を収集した。とりわけ、1930年代なかばに庶民院へ提出されたジャーナリスト登録法案に焦点を定め、職業団体、経営者のあいだで交わされた言説を分析した。資格化により表現の自由が脅かされるという主張より、むしろ業界の利害が大きな争点となっていることが明らかとなった。また、ジャーナリストとは何者なのかという根本的な問題が、これらの言説ではほとんど扱われていないことを指摘した。成果は日本教育社会学会にて報告している。また、第二次世界大戦後のジャーナリストの養成について、National Council for the Training of Journalistsの活動を検討した。職を得るための訓練ではないという特徴を明確にし、従来のアメリカ新聞学の枠組みとは異なることを示した。また、産業訓練法による自社養成の活性化や、GCEといった中等教育資格との結びつきが、NCTJの初期の特徴に変化を与えた過程を明らかにした。成果はメディア史研究会にて報告している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ジャーナリスト協会、ジャーナリスト組合などの機関誌の収集が進み、1930年代、および第二次世界大戦後のイギリスのジャーナリストの資格化、および養成について、研究成果を学会発表を通じて公表することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
ジャーナリストの資格化を専門職化の過程ととらえ、争点を明確にする作業を行う。また、NCTJなど第二次世界大戦後の試みについて、イギリスの高等教育や、職業団体との関連を整理し、学会発表を通じて得られた意見をもとに成果を論文にまとめる。一方、イギリスを中心に欧米に散逸している資料の収集を進める。すでに所蔵が明らかとなっているオックスフォード大学での文献調査を実施する予定である。
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