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2015 年度 実績報告書

労働文化の遺産化をめぐる地域社会のポリティクスの社会学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 25780327
研究機関甲南女子大学

研究代表者

木村 至聖  甲南女子大学, 人間科学部, 准教授 (50611224)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード文化遺産 / 産炭地 / 炭鉱 / 記憶 / 産業遺産
研究実績の概要

研究期間の最終年度となる本年度は、二年目までの研究成果を国内学会やシンポジウムなどで発表するとともに、2015年の「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産登録を受けて大きく変容しつつある研究対象地域のフォローアップ調査、および台湾における類似事例との国際比較を視野に入れた調査を行なった。
二年目までの研究では、産業遺産は「労働文化の遺産」というよりも「地域文化の遺産」として意味づけられつつあることを確認してきた。そして、本研究の最終年度である2015年度には、実際に「明治日本の産業革命遺産」が世界遺産に登録されたことで、遺産群は「地域文化の遺産」というよりも「日本の近代化の遺産」というべきものとして、より抽象化された表象に結実することになった。だがこうした産業遺産群の国家的スケールの表象が、韓国政府の反発を呼び、近代化の産業遺産を表象することの困難があらためて明らかになった。本年度はこうした困難に対処するために必要ないくつかの視点についての考察を、国内学会やシンポジウムで発表し、来年度以降には論文化されたかたちで発表する予定である。
ここまでに達成された本研究の意義は、産業遺産をめぐる国際的な動向およびその研究の成果を踏まえつつ、地域社会学的な視点から日本の事例を分析したことで、日本における「労働文化の遺産化」の特徴を明らかにしたことである。そしてこうした産業遺産をめぐる日本の事例は、脱工業社会における統治構造や歴史(再)認識のあり方の国際比較のためにも重要なものとなるだろう。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件、 招待講演 5件)

  • [雑誌論文] 『観光のまなざし3.0』は産業遺跡をいかにデザインするか?2016

    • 著者名/発表者名
      木村至聖
    • 雑誌名

      観光学評論

      巻: 4(1) ページ: 43-55

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 近代産業における「非業の死」はいかに記憶されるか2015

    • 著者名/発表者名
      木村至聖
    • 雑誌名

      日仏社会学会年報

      巻: 26 ページ: 17-30

  • [学会発表] Construction of ‘Authenticities’: A Case Study of Gunkanjima in East Asia2016

    • 著者名/発表者名
      KIMURA, Shisei
    • 学会等名
      Re-thinking Tourism in East Asia
    • 発表場所
      北海道大学
    • 年月日
      2016-03-12 – 2016-03-12
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 文化の表象をめぐるスケールのポリティクス――軍艦島の「地元」高島を事例として2015

    • 著者名/発表者名
      木村至聖
    • 学会等名
      九州人類学研究会オータム・セミナー
    • 発表場所
      基山町民会館(佐賀県三養基郡基山町)
    • 年月日
      2015-11-21 – 2015-11-21
  • [学会発表] デザインされる国土と「文化」――「明治日本の産業革命遺産」をめぐる地域社会の葛藤2015

    • 著者名/発表者名
      木村至聖
    • 学会等名
      地域社会学会研究例会
    • 発表場所
      明治学院大学
    • 年月日
      2015-10-03 – 2015-10-03
    • 招待講演
  • [学会発表] 文化遺産化ゲームと観光現象2015

    • 著者名/発表者名
      木村至聖
    • 学会等名
      東アジア観光文化研究会シンポジウム
    • 発表場所
      北海道大学
    • 年月日
      2015-08-01 – 2015-08-01
    • 招待講演
  • [学会発表] なぜ過去の遺物を保存するのか――社会学の視点から2015

    • 著者名/発表者名
      木村至聖
    • 学会等名
      住総研シンポジウム
    • 発表場所
      学士会館(東京都千代田区)
    • 年月日
      2015-07-17 – 2015-07-17
    • 招待講演
  • [学会発表] 「観光者3.0」は電子化された文化遺産の夢を見るか?―産業遺産/世界遺産の文脈から2015

    • 著者名/発表者名
      木村至聖
    • 学会等名
      観光学術学会
    • 発表場所
      阪南大学
    • 年月日
      2015-07-04 – 2015-07-05
    • 招待講演

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公開日: 2017-01-06  

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