本研究は、乳幼児期の子どものウェルビーイングを社会の中で実現していくことを目指し、家庭や地域社会が真の「パートナー」と なって取り組むために、あらゆる環境で共有できる、育ちに関する目標 や理念を整理・分類することにある。 今年度は、昨年度に引き続き「乳幼児版子どものウェルビーイング尺度」を使用した量的調査を拡大して実施した。量的な調査は、A県の昨年以前に未実施であった学校園の、幼稚園年少児(4歳児)、年長児(5歳児)、小学校2年生であった。調査内容は、「乳幼児版子どものウェルビーイング尺度」に加え、乳幼児期の子どもたちのウェルビーイングを規定する家族生活要因(家庭における生活時間、家族生活の集団性、保護者における家庭生活意識・子育て意識等)について調査した。さらに調査結果を踏まえた子どものウェルビーイング実現のための家庭と地域の協働モデル「親なびワークショップ」を、A県の家庭教育推進強化事業として実施した。児童館及び保育所、幼稚園、子育て支援センター等26か所(総数976名の保護者)で実施し、参加者の非常に高い評価と、実施後の保護者と実施機関との交流の深まりが見られ、一定の成果のあるモデルが完成した。 研究期間全体を通じて実施した研究の成果は、以下の点である。第一に保護者や地域のあらゆる環境で共有できる乳幼児期の育ちに関する一定の信頼性のある「子どものウェルビーイング尺度(乳幼児版)」を作成した。第二に、作成した指標を用いて、乳幼児期の「子どもの育ちと家庭生活に関する調査」を実施し、乳幼児期の子どもの育ちにおいて課題となる家庭生活を明らかにした。第三に、子どものウェルビーイングに関する調査結果を踏まえ、家族と地域の協働による乳幼児のウェルビーイング実現のための新しい家族支援のモデル「親なびワークショップ」を完成させた。
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