本研究では全国の市町村高齢者福祉担当部署(指定都市とその行政区を除く)を対象に、主に①部署の職員が直接担当する(直接管理し、訪問やケース検討等を主導的に行う)ケース数、②1年間に実施した老人福祉法上のやむを得ない事情による措置の件数、③虐待対応等に関して職員が対象者宅に直接訪問する回数、④行政職員が高齢者宅等に定期的に訪問してニーズ把握等を行う仕組みの有無等の各項目について、郵送によるアンケート調査を実施した。調査の実施期間は平成27年3月の1ヶ月間、配票数は1720(平成25年4月1日現在)である。回収数は562票、うち無効票は2票、有効回収数は560票、有効回収率は32.6%であった。回収票の地区別内訳及び自治体種別は表1の通りである。得られたデータについて、特に地域包括支援センターの運営方式(直営型センターの有無)によって直接支援業務の状況に違いが見られるかを基本視点として分析を行った。 事前の想定では直営型の地域包括支援センターを設置する自治体の方が、高齢者への直接支援業務の実績が豊富であると予想したが、調査データの分析からそのような特徴は見いだされなかった。自治体の規模や困難ケース対応に関する体制や対応フローの違いなど、地域包括支援センターの設置有無以外の条件も、高齢者担当部署の直接支援業務の状況に影響していることも考えられる。今後は、それらも含めた様々な要素を加味してさらなる実証研究にとり久根行きたい。
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