初年度には、面接技法を学びたいと考えているソーシャルワーカーを対象にフォーカスグループインタビューを行い、面接技術の向上を役立てたい支援困難と感じる場面や状況について把握した。その結果、場面や状況については経験年数による差はなく、年数を重ねている場合には体験を再帰的に検討することが重要であることが示唆された。そこで本研究のプログラム開発においては、ロールプレイと体験のシェアリングに力点をおくこととした。さらに支援困難場面を円環的因果論を活用した概念モデルを提示し、変化を導入するための対話の技法と位置付けた。2年目の試行研修からは「関わり行動」や「感情」の扱い方をより丁寧に実感いただくことが重要であることが示唆された。最終年度にはこれまでの研究の成果を踏まえて、「支援困難事例への相談面接技法」研修を実施した。自治体の協力を得て、家族支援に携わる職員を中心に対象者を選定した。家族支援が困難になる状況について円環的因果モデルを提示し、支援者のかかわりで変えられる部分に焦点を当てるよう促した。面接逐語モデルの提示と、ボディワークやロールプレイの組み合わせ、フィードバックの時間を一定確保することにより、比較的短時間で多様な参加者にエッセンスを拾ってもらえることができた。研修前後、3ヵ月後の自己記入式質問紙法による効果評価を実施したが、3時点の比較を行った。その結果、研修前と比べて研修後、研修3ヵ月後にも対処困難感が有意に低下しており、対処可能感も研修後に向上し、研修3ヵ月後にも維持されていた。以上のことから研修プログラムの組み立て方には一定の効果があると考えられた。 結果は社会福祉学会で報告した他、論文にまとめた。
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