1.収集済みのインタビューデータの予備分析を行い、国際理論心理学会で発表した。障害者が、障害者関連の活動と自分の障害とをどのように意味づけているのかを明らかにしようとする。他の障害者との関係、自分の障害の呈示、家族に関する課題、活動上の価値と問題、障害者に対する嫌悪への憂慮、身体機能の低下、福祉サービスのやりくり、というカテゴリーをえた。引き続き分析を進める。 2.地方都市の障害者施策のアクションリサーチをまとめた。障害者基本計画と福祉計画の策定組織と自立支援協議会各々の活動と相互関係、メンバーの関与を検討した。地方都市では社会資源が少ないと見なされがちだが、障害者自立支援法以降は、自治体、社会福祉法人、NPOなど、色々な組織が連携しつつ、活動を展開していることがわかった。ただし、障害者本人の関与が十分ではないことが明らかになった。 3.関連研究として、大都市圏の住民会議の再分析をした。日本の社会文化的な特徴、例えば、障害の種類別の施策とそれに基づいた議論、障害者施策における行政組織と住民の関係をふまえて、住民会議の目標の達成、メンバー間の相互作用、他組織との連携を検討した。主要メンバーへのグループインタビューの分析も付加した。 4.上記大都市の住民会議のフィールドワークを継続している。過去数年間は、筆者、会議を所管する自治体の職員による運営が中心だが、メンバーの自発的活動が再検討されつつある。フィールドワークの継続を考えている。 5.韓国京畿道社会福祉財団の、2017年第4回福祉コロキウムにおいて、我が国の障害者施策の特徴を講演し、シンクタンクの研究者や行政職員と研究交流をした。また、日本発達心理学会年次大会において、本プロジェクトで培った、障害者に関するアジア的特徴と、質的研究の関係を論じた。
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