研究課題/領域番号 |
25780343
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研究機関 | 福岡県立大学 |
研究代表者 |
奥村 賢一 福岡県立大学, 人間社会学部, 准教授 (90584699)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 学校ソーシャルワーク / ネグレクト |
研究実績の概要 |
1.具体的内容 1)文献研究(平成26年4月~平成27年3月)。前年度に引き続き①学校ソーシャルワーク(隣接領域を含む)、②ネグレクト(主に学齢期の子ども)および③家族支援をキーワードに国内外の論文、専門書、報告書等に関する文献研究を行った。 2)インタビュー調査。平成26年12月27日に熊本県、平成27年3月23日~24日に大阪府へ調査に出向き、各府県で活動するスクールソーシャルワーカー(SSW)を対象としたインタビュー調査を実施した。今回はいずれも「派遣型」として活動する現任者を対象として、ネグレクト児童に対する学校ソーシャルワーク実践の実態について聴き取りを行った。 3)調査結果の分析(平成26年4月~平成27年3月)。前年度より行ってきたインタビュー調査ならびにヒアリング調査の分析を行った。ただし、途中で家庭の事情により研究を中断せざるを得なくなったため、一年間の期間延長をすることとなった。 2.意義。前年度は「配置型」で活動するSSWを対象に調査を行い、今年度は「派遣型」で活動するSSWを対象に調査を進めた。その結果、「派遣型」の場合は活動形態の特性上、対象となる児童生徒への直接的な支援は難しい状況にありながら、配置型であれば他にも支援方法があることでの葛藤を多く抱えていることが明らかとなった。この「派遣型」の活動形態は日本固有のものであり、先進国であるアメリカやカナダなどには実在しないものであることが文献研究から明らかとなった。 3.重要性。対象児童の多くが不登校等の学校教育問題を抱えていることがこれまでの研究において明らかとなった。また、SSWに寄せられる児童に関する相談の大半にネグレクトが確認されており、これらに対応していくSSWの役割や期待は極めて重要である。近年では、重篤な事件にこれらの問題が関連しており、SSWの事業に社会的関心も高まっている状況にある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
文献研究については、前年度からの継続として順調に進めることができている。それらの研究内容は各調査にも反映することができた。 インタビュー調査については、当初に計画した日程より遅れることにはなったが、無事に「派遣型」(熊本県・大阪府)で活動するスクールソーシャルワーカー(延べ30名)からの聴き取りを行うことができた。ただし、「配置型」として福岡市で活動するスクールソーシャルワーカーへのインタビューを実施することができなかったため、これについては平成27年度に実施する予定である。 当初は平成26年度中に一連の研究成果について報告書または論文にまとめて発表する予定であったが、家庭の事情により研究を中断せざるを得なかったため分析が十分に進んでおらず、その目標を達成するに至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究については、以下2点を重点的に推進していく。 1.文献研究。 平成25年度からの継続で先行研究に関する情報収集を行い、それらの集積から得た専門的知見を分析等に生かしていく。 2.報告書または論文作成 研究成果については報告書または論文にまとめて公表していく。当初の予定では報告書を作成する方向であったが、研究期間の延長に伴い状況次第では学会誌への論文投稿も可能となることから、それらについては研究の進捗状況に応じて判断していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
家庭の事情により研究を中断せざるを得なくなった。そのため、当初に計画していた内容で予算の執行をすることができなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、主に旅費(インタビュー調査等の交通費)、印刷費(報告書の作成を予定)およびその他(学会参加費、事務用品購入等)での予算執行を計画している。
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