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2013 年度 実施状況報告書

東日本大震災被災者におけるSocial Networkの推移と関連要因

研究課題

研究課題/領域番号 25780344
研究種目

若手研究(B)

研究機関岩手医科大学

研究代表者

横山 由香里  岩手医科大学, 医学部, 助教 (40632633)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードソーシャルネットワーク / 災害
研究概要

ソーシャルネットワークが豊かな人では、健康状態を良好に保てるとの報告がある。しかしながら、東日本大震災の被災地では、家族や親族と死別した住民や、避難によってこれまでのつながりが分断された住民も少なくない。
そこで、東日本大震災で甚大な被害を受けた岩手県山田町、大槌町、釜石市下平田地区、陸前高田市を対象に、ソーシャルネットワークの水準とその関連要因を明らかにする目的で調査を行った。調査は先行するコホートと協働で実施した。調査項目として、Lubbenのソーシャルネットワーク尺度を用いた。Lubbenのソーシャルネットワーク尺度は、家族や友人とのつながりを尋ねるものである。0から30点のうち、12点未満の場合に社会的孤立が疑われるといわれている。関連要因には、現在の住まいや就労状況、年齢、性別、健康状態等を設定した。
平成25年度は、震災直後に実施された約1万人の調査データを用いて、ソーシャルネットワークについて分析を進めた。その結果、約4割がLubbenのソーシャルネットワークで12点未満を下回り、社会的孤立が疑われる水準となった。震災前に近隣地域で行われた調査や、その他の多くの先行研究では、社会的孤立の割合がは概ね2割程度であったことが報告されている。したがって、被災地では社会的孤立を防ぐ支援が極めて重要と考えられる。同データでは、ソーシャルネットワークが乏しい住民において、精神健康上の問題を抱えやすいことも示された。今後の支援策を検討するためにも、被災地におけるソーシャルネットワークの特徴や、推移に関連する要因を明らかにすることが重要と考える。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成25年度の目的を、①被災地住民のソーシャルネットワーク水準やその要因を明らかにすること、②ソーシャルネットワークと健康指標との関連を検討することとしていた。2つの目的に合わせたデータの分析が終了したため、現在のところ研究がおおむね順調に進展していると考える。

今後の研究の推進方策

定量的なデータからは、被災地では社会的孤立の疑いがある住民の割合が多いという結果を得た。しかし、今後さらに精緻な分析が必要である。たとえば、ソーシャルネットワークの測定には「少なくとも月1回、会ったり連絡をとりあう人」について尋ねる項目があるが、震災により通信手段や交通手段が限定されていることでつながりを持てないのか、そのようなやりとりをする存在がいないのか等、実情の把握に努める必要がある。したがって、現地で定性的なデータを収集しながら研究を進めたい。また、地域の特性を考慮しながら対照市町村を設定し、被災地と比較検討することで、被災地のソーシャルネットワークの特徴を明らかにする予定である。

次年度の研究費の使用計画

平成25年度の分析結果を国際誌に投稿する予定であったが、データのクリーニングや分析に時間を要したため年度内に公表できなかった。公表のために計上した予算を次年度に使用したい。
平成25年度の繰り越し分を用いて、論文を国際誌に投稿する。平成26年度の助成金は当初の計画通り、調査実施の費用を主な使途とする。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 東日本大震災被災地住民における心の健康の悪化要因

    • 著者名/発表者名
      横山 由香里
    • 学会等名
      日本公衆衛生学会
    • 発表場所
      三重県

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公開日: 2015-05-28  

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