日本において国立療養所入所者による「らい予防法」闘争、療養所内の生活改善運動は隔離収容政策下を生きる入所者の当事者性を基盤とする実践であった。その運動の意義は安定した療養生活の獲得に見出すことができる一方、強固な隔離主義の下、隔離収容政策の撤廃を前面に出して運動を展開できなかったという限界も有している。当事者性に基づく運動を社会変革という視点をもって受け止めたうえで、隔離収容政策下におかれたハンセン病回復者の解放をかれらとともに目指し、かれらの当事者性を社会的に共有することを取り組み課題として認識することができなかったという点に福祉実践の限界を見出した。
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