研究課題/領域番号 |
25780347
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研究機関 | 目白大学 |
研究代表者 |
三田 真外 目白大学, 人間学部, 助教 (70635375)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ソーシャルワーク記録 / 高齢者福祉 / 介護保険 |
研究実績の概要 |
介護保険制度では、利用者に提供したサービスの結果を記述した記録の重要性が言われ続け、さらに専門職が記述する記録内容には客観性が求められてきた。しかし、介護サービス実践では、専門職が記述する場合に求められる客観とは何かということが示されていないという課題がある。本研究では、記録内容の客観性は、その記述内容の妥当性を示すプロセスであると仮定し、それを「専門職の知覚による情報」と「専門的な判断による選択」との関連から検討し、介護サービス提供記録における専門職の知覚する行為と、情報を判断する行為の基準となる尺度の開発を第1の目的とし、これらの尺度を用いて専門職が記述する記録内容の専門的妥当性を示すプロセスを探り概念モデルを作成することを第2の目的とする。 平成26年度の研究では、研究協力を得られている専門職との意見交換を中心とし、1)記録の活用目的についての整理、2)アンケート調査項目の検討の2つを行った。 社会福祉に関する記録の活用目的を整理すると、共通して「利用者」「専門職(組織を含む)」という2つの主体に基づき述べられている。つまり、社会福祉における記録は、利用者への安定したサービスの提供と専門職やその所属組織が説明責任を果たすための根拠という側面の繋がりから成り立っているといえる。また、安定したサービスと説明責任という記録の側面は、サービスを提供する専門職をあらわす定義に基づくものであり、それらには専門職としての倫理観や知識が共に影響を与えているといえる。この関係性は、本研究の用いる概念モデル案で述べる判断行為から記録行為までの一連のプロセスを説明するものである。その意味では、記録業務が抱えている問題は、専門職が観察する普遍的な客観性に対し、専門職倫理や知識と繋がりが見えにくい現状にあるといえ、それらがどのように影響するのかを検討する必要があることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在、アンケート調査項目の精査が終わり、アンケート調査の協力を依頼している段階である。 平成26年度の研究では、記録の活用目的の整理から専門職の求められる記録とその意義について明らかとなった。さらに、実践者との意見交換等を踏まえ、専門職が持つ倫理観と知識が記録業務とどのように影響するのかといった具体的な調査項目を確認することができた。 研究の進捗状況としては、当初の予定より遅れが生じている。その理由としては、予備調査後に行った調査項目の再検討に時間がかかってしまったことにある。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度の研究概要は、アンケート調査の実施と分析である。具体的な研究内容は、以下の2つである。 第1にアンケート調査を実施し、集計した調査データに基づき項目分析を行う。各項目ごとの分析結果から、記録業務の概念モデル案との比較を行い、どの程度一致するか検討する。 第2に専門職の記録業務のさらなる向上を目指し、強化すべき要因の検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
アンケート調査は、当初、平成26年度に予定していたが、調査項目の検討等の遅れによって実施することができなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度は、記録の妥当性尺度開発のためアンケート調査実施する。アンケート調査では、介護サービスに従事する専門職を対象者に郵送による調査を実施し、構造方程式モデリングでデータを分析する。 この調査実施に伴い、調査関連の備品、調査結果集計用の備品等を購入する。
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