研究実績の概要 |
本研究の主目的は地域福祉を推進していくアウトカム評価指標の構築にある。2014年度は大きく3点について研究を進めた。 第1は文献研究である。先行研究についてアメリカおよび日本の文献を渉猟した結果、アウトカム評価を実施する際の留意点として、プロセス評価とアウトカム評価が連動することが重要であることが指摘されていた(山谷2012)。また、プロセスを踏まえないアウトカム評価のことをブラックボックス評価とよばれている(Rossi,P.H., Lipsey,H.W., & Freeman,H.E.)。したがって、アウトカムに至るための援助プロセスについて明確にしておく必要性を感じたため、以下の質的研究によりデータを分析した。 第2に、2011~2012年にかけて実施した社協ワーカーへのインタビュー調査のインタビューテクストを読み込み、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ法により再度分析を行った。その結果、前回の分析と比較して概念名の修正と仮説生成した理論の修正を行った。そして、見出した概念やカテゴリーを説明する55項目の実践(ワーカーによる働きかけ)を抽出した。 第3に、地域福祉領域におけるアウトカム評価の指標になり得るかもしれない項目を先行研究から検討した。例えば「地域福祉簡易評価スケール」(沢田1991)や、「福祉コミュニティ意識尺度」(李2014)は、地域福祉を推進するアウトカム評価指標になり得る可能性がある。今後、社協ワーカーや地域福祉活動等を行っている住民とのヒアリング等を通じて、抽出した項目の内容的妥当性を確認していくことが検討課題である。
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