研究課題/領域番号 |
25780357
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
研究機関 | 滋慶医療科学大学院大学 |
研究代表者 |
小野セレスタ 摩耶 滋慶医療科学大学院大学, 医療管理学研究科, 講師 (80566729)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 子ども家庭福祉学 / 利用者評価 / 子ども・子育て支援 / 開発的研究 |
研究概要 |
兵庫県伊丹市と連携しながら,地域の子ども・子育て支援に関わる事業に関して,修正デザイン・アンド・ディベロップメントの手法に基づき,1)利用者評価ツールの開発,2)子ども・子育て支援法に基づく子ども・子育て支援事業計画(以下,事業計画)に向けた利用者評価の在り方,について検討を行った. 1)利用者評価ツールの開発:これまで(平成22年~24年度)の利用者評価ツール試案を再検討し,問題点の抽出を行うために,利用者への質的調査を実施した.本調査の目的は,利用者評価ツール試案の利用者視点での問題点の把握と評価ポイントの明確化である.保育事業と地域子育て支援拠点事業について,フォーカス・グループ・インタビューを実施した.その結果,保育事業に関しては,衛生面や子どもの過ごす面積の問題など,地域子育て支援拠点事業については,相談のあり方や安全面に関する問題などが新たに評価の視点として明らかとなった.また利用者評価ツール試案そのものについては,回答数の多さ,7件法の回答のしにくさ,レイアウトの問題などが明らかとなった.これらの結果をもとに利用者評価ツール試案項目等の修正を行う.また,他の事業においても継続して質的調査を実施していく必要性が明らかとなった. 2)事業計画に向けた利用者評価の在り方についての検討:本年度伊丹市は,平成27年度から実施される子ども・子育て新制度(以下,新制度)に伴う事業計画策定準備に多大なる時間を要したが,今後も継続的に利用者評価を実施していく方向性を確認した.またその際,主に利用者評価の対象とするのは,次世代育成支援行動計画から継承された事業および,新制度において新たに位置づけられる「地域子ども・子育て支援事業」とすることとした.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
子ども・子育て支援施策は,次世代育成支援対策推進法に基づく次世代育成支援行動計画から,新制度に基づく事業計画に向けて大きく動いているところである.新制度は,これまでの制度を大きく変更するものであり,国による施策の方向性は明示されたものの,事業計画策定に必要な各論については,やや国の進捗も遅れている.そのため,市レベルの事業計画策定に向けた動きもその影響を受けているのが現状である. 本研究は,市レベルの子ども・子育て支援施策の利用者評価を対象としたものであり,新制度に向けた国の進捗の遅れは,本研究にも多大なる影響を与えている.したがって,当初予定していた,兵庫県伊丹市と連携して評価方法の開発を行うことについては,事業計画において利用者評価を継続実施していくことの確認,および,評価対象事業の概ねの枠組みの検討に留まることとなった.平成26年度には,新制度に基づく事業計画が策定されることから,より具体的な評価方法の検討を実施する見込みである.
|
今後の研究の推進方策 |
1)利用者評価ツールの開発:平成25年度の調査結果をもとに,利用者評価ツール試案を修正し,改良版(たたき台)を作成する.改良版(たたき台)の試行を行い,更なる改良に向けた準備を行う.また必要に応じて,質的調査による利用者評価ツール試案の改善点の抽出も継続する. 2)評価方法の開発:平成25年度は新制度に向けた準備の進捗の遅滞によって,本研究の進捗にも影響が出たが,平成26度秋ごろには事業計画の全体像が明らかになる予定であるため,平成27年度からの新制度における利用者評価の実施に向けた,評価シフトの作成,評価実施時期および方法の検討などを行う.また検討した内容に基づいて,利用者評価ツール改良版の試行を行うこととする. 3)利用者評価体制の構築に向けた準備:評価体制の構築に向けての検討会を行い,その中で制度転換や法改正などがあっても,停滞せず継続的な利用者評価を実施できる体制に向けた仕組みの検討を行っていく. なお,1)~3)いずれについても兵庫県伊丹市を中心とした近隣市と連携しながら実施していく.
|
次年度の研究費の使用計画 |
子ども・子育て支援新制度という大きな制度改革に向けた動きの中で,国の施策の方向性は明示されたものの,必要量の推計などの各論での進捗が遅れたため,新制度における地域子ども・子育て支援事業等の利用者評価に視点を置いた本研究にも多大なる影響があった.そのため,当初実施予定であった「評価方法の開発」については,方向性を検討するのみとなっている.したがって当初予定していた消耗品の購入,資料送付等にかかる郵送費および,評価方法検討等に伴う謝金の支払などで使用計画と異なる結果となった. 平成25年度実施が難しかった「評価方法の開発」については,平成26年度に研究を行い,平成25年度使用予定額を使用するとともに,平成26年度予定額については,平成26年度実施計画に基づいて使用することとする.
|