本研究では「オープン・ダイアローグ」のアプローチを援用し、自殺予防のモデルを検討した。その結果、以下のような介入論理の枠組みが自殺予防に有用であろうという示唆を得た。1)問題理解においては、自殺関連行動を疾病としてではなく、「自分の経験を意味づけようとしたり、困難な経験に対処したりしようとする試み」であると捉えること、2)介入の望ましい結果は「まだ自殺行動としてしか表現されていない事柄に、新しい理解や意味をもたらすこと」を目指すこと、3)変化をもたらすための方法は、本人と本人を取り巻くサポートシステムをモノローグからダイアローグに開かれたものへと関係性を変えていくことである。
|