今年度は、犯罪被害者支援におけるソーシャルワーク的支援がいかなるものであるかを明らかにするために、民間支援団体の犯罪被害者支援の実態を明らかにし、その実態から支援の課題を探ることが課題であった。<対象>民間被害者支援団体の2008(平成20)年~2012(平成24)年度の過去5ヵ年の間に相談を受けた性犯罪被害者(DV被害者を除く)のケースを対象とした。<研究方法>レトロスペクティブ調査としてケース記録記載から読みとれる情報(被害時状況や支援内容に関する情報等)を収集し、SPSS統計ソフトで分析した。<結果>本調査対象としては101件が該当した。被害者の被害時平均年齢は18.8才であり、犯罪種別の内訳は、強姦37%、強姦致傷4%、強姦未遂5%、準強姦3%、強制わいせつ35%、その他17%であった。64%が本人から支援が要請できない状態にあり、関係者からの要請で個人情報の提供を得て、民間支援団体からコンタクトをとったケースは36%に上った。被害(児)者の母からの相談が多く、2週間以内につながる事例が30%であった。休学や休職が必要であった者は33%存在し、25%が退学退職するほどの深刻な状態であったが、精神科医の診察を受けた・受けていた者は37%であった。被害者の58%が経済的負担を、28%が転居を余儀なくされていた。電話・直接的支援の平均支援回数は16回、平均支援日数は163日に及び、情報提供や心理教育、法廷付添、同行支援、代理傍聴支援が行われていた。そのうち、他機関(警察、検察、弁護士、精神科医、カウンセラー、法テラス等)との連携支援回数は平均5回となっていた。
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