研究課題/領域番号 |
25780360
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研究機関 | 武庫川女子大学 |
研究代表者 |
大岡 由佳 武庫川女子大学, 文学部, 准教授 (10469364)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 被害者支援 / 地方公共団体 / ソーシャルワーク |
研究実績の概要 |
今年度は、支援モデルの再検証と、被害者のニーズに基づいた支援開始時のスクリーニングチェックリスト、アセスメントシートを作成することを計画に盛り込んでいた。それらを踏まえ、現在、被害者支援を推進していく機関として国が施策で推奨している地方公共団体に焦点をあてて、(1)地方公共団体の犯罪被害者総合対応窓口支援状況の検証、(2)地方公共団体の対応窓口で使用できるスクリーニング項目やアセスメントシートを含む、支援ガイドラインの作成を行った。 (1)については、都道府県・市区町村における全犯罪被害者等支援総合的対応窓口の担当者を対象に、郵送にて調査協力の案内を送付し、WEB回答を依頼した。調査内容は、地方公共団体の属性、窓口の担当者の属性(専任の有無、資格、担当歴)、過去の相談件数、取り扱った被害事案、窓口対応をするにあたっての体制(独自のパンフレット作成・配布の有無など)、連携先、その他(スーパーバイズ体制、研修参加の有無)、総合対応窓口を充実させるための課題等であった。結果は、全体で362箇所の地方公共団体から回答(回収率20.2%)が寄せられたが、そのうち、「過去おおよそ1年間(2015年4月1日~2016年2月末日)で犯罪被害にかかわる相談があった機関」は60箇所(18.0%)であった。それらの60箇所のうち、機関の職員らでソーシャルワーク等の対人援助の専門職は13件(22.8%)のみであり、支援のためのノウハウが確立していないなかで実務にあたっていた。ソーシャルワーク的発想から、地方公共団体の担当者に伝えていく必要があることを確認された。 (2)上記結果も踏まえ、犯罪被害者支援の実践分野で活躍している実務者を集め、地方公共団体向けの支援ガイドライン作成に取り掛かった。ソーシャルワークの手法を軸に、如何に犯罪被害者支援を進めていくべきかについてのガイドラインを刊行予定としている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
学会や学術集会等で昨年度までの成果を報告したことが幸いし、今年の調査研究、支援ガイドライン作成時に、多くの犯罪被害者支援の実務者の賛同と協力が得られた。
実際、MLで犯罪被害者支援の専門職ネットワークをたちあげ、不定期ではあるが、犯罪被害者支援絡みの情報提供につとめ、その中で研究を進める上で有益な情報を多く頂いた。また、社会福祉士、精神保健福祉士、保健師といった専門職でかつ実務者である有志を募り、「犯罪被害者等暮らし・支援検討会(くらし・えん)」という団体を立ち上げ、それを母体に、調査実施や、支援ガイドライン作成を行なってきた。若手Bのため共同研究者はいないが、非常に様々な者と検討を重ね研究を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
全都道府県、市区町村、その他被害者支援を行う民間被害者支援団体等へ配布する、支援ガイドラインの刊行を2016年夏に行う予定で進めている。 その支援ガイドラインは、平成28年度の研究計画に記載した「ソーシャルワーク手法に基づく犯罪被害者に相応しい支援方法の理論化と実践モデル」を具現化したものになると想定している。それらの支援ガイドラインを通して研修会を開催したり、いくつか学会発表を通して被害者支援の概念として理解をいただけるように進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
最終年度に、全都道府県、市区町村対象等に、犯罪被害者等支援ガイドブックを完成し配布予定としている。それらのガイドブック案作成途上にあるが、当初予定していたのよりも頁が多くなる予定であり、印刷費・送付代に費用を残しておく必要があったため、昨年度予算を切り詰め、次年度に繰越できるように手配した。
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次年度使用額の使用計画 |
上記支援ガイドラインを2016年夏に印刷、配布予定としているため、それらの繰越金は使用してしまえる予定である。
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