本研究は、児童養護施設における入所児童の「問題行動」に焦点を当て、その対応方法について考察していくものである。まず児童養護施設職員が感じる「問題行動」とは具体的に何を指すのか、ということを明らかにする。次に日常的な支援を行っている児童指導員や保育士が「問題行動」に対してどのような対応しているのかを明らかにする。さらに児童養護施設職員のチームケアが機能し、問題行動の対応に活かされているのかについて明らかにする。そして「施設」での支援の基本であるチームケアで対応するにはどのようにしたらいいのか、チームケアを自覚的に取り組んでいる施設からその必要性と重要性を明らかにしていくことである。児童の問題行動をチームで対応することで、一人ひとりの職員負担は軽減すると考える。円滑な援助や児童養護施設職員の負担軽減も本研究での企図である。 「問題行動」に対する「チーム対応」の必要性、重要性を明らかにするため、具体的には次の 2 点について明らかにする。 1.児童養護施設における児童の「問題行動」の実態とその対応を把握するため、児童養護施設職員へ質問紙による量的調査を実施した。量的調査は全国の601か所(H26現在)の児童養護施設に行った。職員は「問題行動」や対応が困難な行動をどのように捉えているのか、具体的な行動を調査で明らかにする。さらに、その行動に対する職員の対応についても明らかにする。調査を行うことで、児童養護施設の職員がどのような状況におかれているのか、対応の困難度と実態を明らかにする。2.具体的な問題行動ごとの対応を聞き取り、その行動と対応の整理を行うため質的調査を行った。質的調査の対象は、了承を得られ、さらには施設がチームケアに意識的に取り組んでいる施設の職員を抽出した。
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