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2014 年度 実施状況報告書

楽観性が適応的結果に結びつくメカニズムの検討

研究課題

研究課題/領域番号 25780367
研究機関筑波大学

研究代表者

外山 美樹  筑波大学, 人間系, 准教授 (30457668)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード楽観性 / 悲観性 / goal shielding理論 / 目標 / 認知的抑制 / 悲観性 / パフォーマンス
研究実績の概要

これまで,数多くの研究によって,特性的楽観性(以下,“楽観性”)がパフォーマンスの高さや精神的・身体的健康と結びつくことが示されている(Carver et al., 2010)。その理由として,楽観性の高い人が接近的な目標の追求を行っているためと考えられてきた(Segerstrom, 2007)。ところが近年,楽観性の高い人が常に接近的な目標追求を行っているのではなく,取り組むべき目標が自身にとって重要であったり優先順位が高いと認知した時のみそうであることが明らかになっている(Geers et al., 2009;外山,2014)。
ところで,goal-shielding理論(Shah, Friedman, & Kruglanski, 2002)では,“重要な目標が活性化されると,代替的な目標(その重要な目標とは無関連な目標)の活性化が自動的に抑制される”と提唱している。そして,この代替的な目標に対する認知的な抑制が,目標達成のプロセスにおいて重要な役割を果たすと考えている。
本研究(平成26年度に実施した研究)では,重要な目標が活性化されると,代替的な目標の活性化が抑制されるというgoal shielding効果において,楽観性が調整変数として働いているのかどうか検討することを目的とした。
その結果,楽観性の高い人は低い人に比べて,重要な目標が活性化された際に,代替的な目標の活性化がより抑制されることが示され,仮説が支持された。本研究の結果は,楽観性の高い人が重要な目標に対して積極的に取り組むことができるのは,代替的な目標の活性化の抑制が働いていることに起因している可能性を示唆するものである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の予定では,楽観性が高い人のポジティブ感情の拡張―形成機能の検討について研究する予定であったが,【研究実績の概要】のところで述べたように,近年,楽観性の高い人が常に接近的な目標追求を行っているのではなく,取り組むべき目標が自身にとって重要であったり優先順位が高いと認知した時のみそうであることが明らかになっている(Geers et al., 2009;外山,2014)。本研究では,そのメカニズムを検討すべき,goal-shielding理論を援用して,楽観性が高い人の目標達成のプロセスについて検討した。
得られた成果を論文投稿まで行うことができたため,「おおむね順調に進展している」と判断した。

今後の研究の推進方策

平成26年度に実施した研究において,楽観性の高い人は低い人に比べて,重要な目標が活性化された際に,代替的な目標の活性化がより抑制されることが示された。これらの結果は,楽観性の高い人が重要な目標に対して積極的に取り組むことができるのは,代替的な目標の活性化の抑制が働いていることに起因している可能性を示唆するものである。今後はこれらのプロセスをより詳細に検討していく予定である。

次年度使用額が生じた理由

端数を使い切ることができなかったため,次年度に繰り越すことにしました。

次年度使用額の使用計画

その他(消耗品)して使用します。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 認知的方略尺度の作成および信頼性・妥当性の検討-熟考の細分化を目指して-2015

    • 著者名/発表者名
      外山美樹
    • 雑誌名

      教育心理学研究

      巻: 53 ページ: 1-12

    • DOI

      http://doi.org/10.5926/jjep.63.1

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 特性的楽観・悲観性が出来事の重要性を調整変数としてコーピング方略に及ぼす影響2014

    • 著者名/発表者名
      外山美樹
    • 雑誌名

      心理学研究

      巻: 85 ページ: 257-265

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] なぜ防衛的悲観主義者は高いパフォーマンスを示すのか-熟考がパフォーマンスに影響を及ぼすメカニズムの検討-2014

    • 著者名/発表者名
      外山美樹
    • 雑誌名

      筑波大学心理学研究

      巻: 48 ページ: 9-17

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 楽観性の高い人はなぜ目標に対して積極的に取り組めるのか?2014

    • 著者名/発表者名
      外山美樹
    • 学会等名
      日本心理学会
    • 発表場所
      同志社大学
    • 年月日
      2014-09-10 – 2014-09-12

URL: 

公開日: 2016-06-01  

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