研究課題/領域番号 |
25780370
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 帝塚山大学 |
研究代表者 |
山田 歩 帝塚山大学, 経営学部, 講師 (00406878)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 選択アーキテクチャ / 態度形成 |
研究概要 |
本研究プロジェクトは、選択アーキテクチャが人々の決定および態度に与える影響を検討することを目的としている。本年度は、本プロジェクトのこうした目的を検証するのにふさわしい実験課題・実験パラダイムを開発することに取り組んだ。具体的には、選択アーキテクチャとして代表的なデフォルト(初期値)による選択誘導に焦点をあて、これが本実験の研究パラダイムとして有効に働くかの確認を行った。 本年度に実施した二つの実験は、脳死状態におちいった際の臓器提供についての意思をたずねる課題を用いて、実験参加者を、二つのデフォルト条件のいずれかに割りあて、心臓や肺などの複数の臓器の提供の有無をたずねた。 実験1では、先行研究の知見と一致して、臓器を提供することがデフォルトである条件に割り当てられた参加者は、臓器を提供しないことがデフォルトである条件の参加者と比べて、より多くの臓器を提供する意思を示した。しかし、その後にたずねた臓器移植に関する態度については、両群に違いは見られず、この実験パラダイムでは、デフォルトは参加者の決定には影響を与えるが、態度には影響を与えないことが確認された。 実験2では、選択の自由を強調する情報を提供することが、デフォルトによる態度形成を加減する可能性を検討した。つまり、自らの決定を自由意思に基づいて行ったという(誤った)信念をもつことが、自らの決定から自らの態度を推測する傾向を強めるという予測を検討した。しかしながら、この実験操作も態度形成には影響しないことが確認された。 このように、現在、態度形成が生じる実験条件を明らかにすることに取り組んでいる。今後、デフォルトだけでなく、その他の選択アーキテクチャを用いてこの課題に取り組む計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
先行研究で報告されているほど、選択アーキテクチャが意思決定者の決定に強力な影響をもたないことが、実験に着手したあと次第に明らかになってきた。予備実験からは、些細な実験条件の違いが、選択アーキテクチャの効果を消失させる場合があることが確認された。 選択アーキテクチャの直接的な影響というより、その副次的な影響に注目している本プロジェクトにおいては、選択アーキテクチャが確実に意思決定に影響を与えることを前提としており、この前提をみたすことができる実験条件を探る段階にとどまっているといえる。 選択アーキテクチャが決定に安定した影響を与える実験条件を見つけ出すことと平行して、本プロジェクトのメインの課題であるアーキテクチャによる態度形成が生じる条件を特定する必要が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定では、先行研究から、人々の判断と意思決定に、最も簡便に、また安定的な影響をあたえると考えられた「デフォルト」による実験操作をおこない、実験全体を押し進めることを考えていたが、いくつかの実験から「デフォルト」は必ずしも強力な影響をもたないことが確認された。 こうした問題を受けて、デフォルトによる実験操作であっても、題材をよりカジュアルなものにしたり、選択の反復回数を増やしたりするなど、先行研究よりも、よりその効果が確実に生じると予想される実験パラダイムを考案する必要がある。 また、デフォルト以外の選択アーキテクチャによる選択誘導も取り入れて、本プロジェクトの課題に接近する計画である。
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次年度の研究費の使用計画 |
所属大学が年度途中、また年度末に変更があり、こうした研究環境の変化にともない、当初予定していた計画とおりに、調査をすることが難しくなってしまったことがあげられる。 25年度から繰り越した予算をもちいて、25年度実施する予定であった調査を今年度に実施する計画である。小規模な調査を1つ実施する。プロジェクト全体のスケジュールには大きな変更は生じないと考えている。
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