潜在的態度がもたらす社会的ネットワークからの孤立過程の解明

2015 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 25780371
• 研究機関: 名古屋大学
• 研究代表者: 五十嵐 祐 名古屋大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (90547837)
• 研究期間 (年度): 2013-04-01 – 2017-03-31
• キーワード: 社会的ネットワーク / 潜在的態度 / 自己

研究実績の概要

本年度は、大学新入生を対象に3回目の調査を行った。過去2回の調査を踏まえて調査内容を精査し、自己に関する内容とともに、ネットワーキングの動機づけに関する内容を含めて測定を行った。分析の結果、自分が有利な地位に立つために他者との弱いつながりを希求するといった、自己志向的な動機が孤立を深めるメカニズムが示唆された。その一方で、ネットワーク内での高い地位を希求する動機づけは、他者からの選択を促進していた。これらの結果は、自己志向的な動機が孤立に与える影響の差異が、個人の持つ資源によって調整される可能性を示唆するものである。また、企業組織においても、潜在的自己の状態と社会関係資本へのアクセス可能性についての調査を行い、結果を整理している。

現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

大学新入生調査について、各年度のデータに基づく分析は予定通り行えている。縦断データの収集に伴う複数回の回答で、特に調査の後半部分でサンプルの欠損が比較的多く見られるものの、オンラインの回答インタフェースの導入などで改善を図っている。また、当初の予定と異なり、組織での調査は一般企業での横断調査となり、潜在的態度の測定は質問紙で行ったが、分析方法の変更で対応可能な範囲であると考えている。

今後の研究の推進方策

大学新入生データの収集を継続して行い、結果を整理する。可能であれば、複数年度の分析結果を統合的に考察する段階に入りたい。また、組織データについて分析を実施する。

次年度使用額が生じた理由

学会が大学近辺で開催されたため、出張旅費が予定よりも少なくなった。また、オンライン調査の導入、企業調査の形態変更に伴い、データ入力、研究実施等の人件費が予定よりも少なくなった。

次年度使用額の使用計画

出張旅費、データ整理等の人件費に使用する。

研究成果

• [雑誌論文] Improving medical and health decision-making through culture-sensitive health communication: An agenda for science and practice. (2015)
  • 著者名/発表者名: Betsch, C., Bohm, R., (remaining authors in alphabetical order) Airhihenbuwa, C., Butler, R., Chapman, G., Haase, N., Herrmann, B., Igarashi, T., Kitayama, S., Korn, L., Nurm, U.-K., Rohrmann, B., Rothman, A., Shavitt, S., Updegraff, J. A., & Uskul, A.
  • 雑誌名: Medical Decision Making 巻: - ページ: -
  • DOI: doi: 10.1177/0272989X15600434
  • 査読あり / 国際共著
• [雑誌論文] 精神的健康・幸福度をめぐる新たな二者関係理論とその実証方法 (2015)
  • 著者名/発表者名: 浅野良輔・五十嵐祐
  • 雑誌名: 心理学研究 巻: 86 ページ: 481-497
  • DOI: doi.org/10.4992/jjpsy.86.14401
  • 査読あり / オープンアクセス
• [学会発表] The Interplay of Safety and Effectance Motivation in Social Networks (2015)
  • 著者名/発表者名: 五十嵐祐・平島太郎
  • 学会等名: 日本グループ・ダイナミックス学会第62回大会
  • 発表場所: 奈良大学
  • 年月日: 2015-10-11 – 2015-10-12
• [学会発表] 心理学はどのように人間の幸福に寄与できるのか (2015)
  • 著者名/発表者名: 五十嵐祐
  • 学会等名: 日本心理学会第79回大会
  • 発表場所: 名古屋国際会議場
  • 年月日: 2015-09-22 – 2015-09-24
• [学会発表] 感情の読み取りと社会的ネットワーク・サイズの関連：「まなざしから心を読む」テストを用いた検討 (2015)
  • 著者名/発表者名: 平島太郎・五十嵐祐
  • 学会等名: 日本心理学会第79回大会
  • 発表場所: 名古屋国際会議場
  • 年月日: 2015-09-22 – 2015-09-24
• [学会発表] 歩きスマホ行動と自己愛傾向との関連：地下鉄内での行動観察に基づく検討― (2015)
  • 著者名/発表者名: 加藤仁・北折充隆・五十嵐祐
  • 学会等名: 日本心理学会第79回大会
  • 発表場所: 名古屋国際会議場
  • 年月日: 2015-09-22 – 2015-09-24